“3人に1人は社外取締役”の新ルール 人事抗争が無意味に?
社長を選ぶ指名委員会
企業のお目付け役として期待されている社外取締役も、金融庁と東証の“定員増加”命令を歓迎している。現在、金融機関の社外取締役を務める男性は、企業の対応にこう不満を漏らす。
「とにかく、会社から情報が上がって来ません。特に、人事や不祥事に繋がりそうな情報は皆無で、新聞や雑誌を読んで知ることさえあります。別の社外取締役は社長の友人で、事実上、“社外”は自分一人。取締役会は、孤立無援でモノが言える雰囲気ではありません」
また、食品メーカーの社外取締役も、
「取締役会前に社員から説明があり、そこで細かいことを聞くと露骨に嫌な顔をされたり、“後ほど、ご報告します”といいながらも梨の礫なんてことは日常茶飯事。それなのに会社の法令違反が発覚すれば、社外取締役も罪に問われる可能性があるのでヒヤヒヤしています」
そんな“お飾り”とも思える社外取締役が増えても、企業が焦慮に駆られる必要はないのではないか。だが、
「ここ数年、社長を選ぶ権限を持つ指名委員会を設置する上場企業が増加しています。しかも、そのメンバーの過半数が社外取締役で占められているケースも少なくない。この動きが主流になれば、社内の人事抗争はほとんど意味をなさなくなります」(先の記者)
さらに、社内取締役が少数派になる可能性もあるという。
「米国では社外取締役の割合が84%で、欧州でも60%を超える国が多い。それに比べて、わが国は一部上場で3分の1以上の社外取締役を置く企業は27・2%に過ぎません。金融庁と東証は、徐々にその比率を高める“命令”を下すはずです」(同)
取締役の3人に1人どころか、社長以外の役員がすべて社外の人間。そんな日が現実になるかも?
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