「将棋」と「囲碁」子どもにやらせるならどっち? 藤井六段、井山七冠のスタートは“5歳から”
人生設計を描ける「空間認知能力」
理詰めの将棋か、美的感覚を養う囲碁か。どちらの能力も子どもに備わって欲しいと願うオトナたちには悩ましいところ。そこで、子どもの気質が判断材料になるというのは脳科学者の茂木健一郎氏で、
「将棋は王が取られたら終わり。勝敗がハッキリしているので、負けず嫌いな子に向いていると思います」
勝負に勝つことで欲求が満たされれば、脳へ「快」を与えるドーパミンの分泌が促進されると言うのだ。
「勝つことが嬉しくて伸びるタイプの子には将棋がいい。比べて囲碁は勝ち負けがゆったりしている。自陣を広げるため一進一退を繰り返し、ある局面で負けても次の局面では勝つ。全体を見渡す空間認知能力を使うため、大局観やバランス感覚が養われます」(同)
実体験からその効能を説くのは、関西の難関校・灘高から京大医学部へと進み、医師免許も持つ棋士の坂井秀至八段(44)である。
「振り返れば、囲碁は受験勉強にも役立ちましたね。効率よく陣地を取っていくゲームですから、どうすれば陣地をより広く囲えるかと前半は空間を把握し、後半は陣地をめぐるシビアな数の争いになるので、瞬時に正確な計算が求められる。常に算数の問題を解くようなものですから、おかげで数学も得意になりました」
白と黒の石の打ち合いが、やがては自らの“人生設計”を描く上での有効なツールになると言うのだが、組織のトップに立つ経営者たちも囲碁を好む傾向にある。
「経営者の皆さんは、常に先々を見通す大局観や、バランス能力を求められるからでしょう」(茂木氏)
どんな子どもに育てたいか。まずはオトナがじっくり「長考」してみては――。
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