反捕鯨の本拠地で「ビハインド・ザ・コーヴ」が最優秀監督賞をもらったワケ 八木景子監督が語る
羽生結弦(23)が平昌(ピョンチャン)オリンピックで歴史的な金メダルを獲得した2月17日、英国・ロンドンでも歴史的な受賞があった。反捕鯨映画「ザ・コーヴ」に真っ向から反証を挑んだ「ビハインド・ザ・コーヴ~捕鯨問題の謎に迫る~」がロンドン国際映画制作者祭で最優秀監督賞を受賞したのだ。
英国といえば、国際捕鯨委員会(IWC)の事務局がある反捕鯨の拠点である。そんな国の映画祭で、どうして受賞できたのか――。
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はじめに断っておくと、英国最大の映画祭で英国映画協会が主催する「ロンドン映画祭」ではない。インディーズ映画の支援などを目的に2007年に始まった映画祭である。その長編ドキュメンタリー部門の作品賞、監督賞、編集賞の3部門にノミネートされ、最優秀監督賞に輝いた。
「映画祭の主催者は『捕鯨に賛成するわけではない』とも言っていましたけど、作品が中立で情熱的、そして映画として素晴らしいという評価をいただきました。反捕鯨中心国の英国で評価してもらえたことには、大きな意味があると思うんです」
とは、ロンドンから帰国したばかりの八木景子監督(50)である。
撮影は2014年にスタート。映画など撮ったこともなかった。手持ちカメラを手に、たった一人で和歌山県太地町に4カ月滞在し、撮影を続けた。
「2009年に太地町のイルカ漁を批判した反捕鯨映画『ザ・コーヴ』がアメリカで公開され、10年にはアカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞しました。その4年後にはオーストラリアから、日本の調査捕鯨は商業捕鯨の隠れ蓑だとして国際司法裁判所(ICJ)に訴えられて、日本に見直しを求めました(編注:その1年後、ICJが示した調査目的の捕鯨が許される条件を満たしているとして、日本は調査捕鯨を再開)。この頃の私の思いは単純なもので、給食で食べた大好きな鯨の竜田揚げがもう食べられなくなるのでは、という危機感からでしたが、調べて行くうちに矛盾だらけに憤りが募っていき、止まらなくなりました」
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