“三菱自動車”株まで手放す「三菱重工」は“火の車”
三菱は国家なり──。開祖の岩崎弥太郎以降、“三菱”は政府とともに歩み、日本経済を牽引してきた歴史を持つ。目下、グループの旗振り役は御三家と呼ばれる3社。いずれも、経営基盤は盤石と思われてきたが、御三家の1つである三菱重工業が“火の車”になりつつあるという。
「会社全体が大きな問題に取り組む、戦闘状態にあります」
2月6日に開かれた決算会見で、三菱重工の宮永俊一社長(69)は厳しい口調でこう語った。全国紙の経済部デスクによれば、
「天下の三菱重工も、ここ数年は多難続き。在職6年目に突入する宮永社長が語った“大きな問題”の1つは、子会社が手掛ける国産初のジェット旅客機MRJです」
5回に亘る納期延長でMRJは累積赤字が1510億円に膨れ上がり、米イースタン航空が初の購入キャンセルを申し出たのはご存じの通り。経済ジャーナリストの森山健氏がいうには、
「MRJの開発は“オールジャパン”と謳いながら、米ボーイング社から技術支援を受けています。そのボーイング社が、MRJとライバル関係にあるブラジルのエンブラエル社の買収を検討しているのです。この買収が成功すれば、ボーイングがMRJから手を引く可能性も高いでしょう」
それでも宮永社長はMRJに投資を惜しまないと明言。開発資金捻出のために、自社の自動車部門を独立させて設立した三菱自動車の株式の売却を検討していると報じられた。三菱自動車幹部の話では、
「社内では、“売却決定”と伝えられています。すでにうちは“日産・ルノーグループの一員”ですから驚きませんね」
一方、三菱自動車が日産・ルノーの傘下に入る際、御三家の間で“三菱自動車株は20%以上の保有を堅持する”方針で固まっている。
「三菱重工が保有する三菱自動車株約10%は、御三家の三菱商事が500億円超で引き受ける見通しです」(同)
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