なぜ芸人は裸になるのか――ここ数年の“裸芸人ブーム”を演芸評論家が読み解く

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多士済々な面々?

 出川哲朗などの“OB”も含まれているが、中堅から新人までずらりと揃う。バラエティは豊かだ。やはり、裸になってでも笑われたいと執念を燃やしてこそ芸人、なのかもしれない。

裸が事件化した黒歴史

 江戸時代の大道芸人は裸を売りにするグループがいたという。そこまで遡らなくとも、松竹新喜劇の大スター藤山寛美(1929〜1990年/享年60)も戦後間もなく『裸になった貫一』という演目があったそうだ。タイトル通り、若手役者がパンツ一丁になるのがオチ。相当な人気だったとの証言が残されている。

 タモリ(72)もデビュー当時はパンツ一丁になった。イグアナのモノマネや、裸の背中にロウソクを垂らされる“密室芸”をご記憶の50代以上も多いだろう。ご本人も当時を「私は今で言うと、江頭2:50と同じような扱い」だったと振り返ったことがある。

 ビートたけし(71)だって負けていない。例えば97年に新曲「修善寺で別れた大宮の女」が4万枚を突破して会見を開催。そこに「パンツ一丁」で現れたとスポーツニッポン(97年3月26日)が報じている。

 しかし裸芸人に眉をひそめる向きが多いのも事実だ。先に紹介した「好きな裸芸人ランキング」では、一応は1位・出川哲朗(12.8%)、2位・小島よしお(10.8%)、3位・アキラ100%(9.4%)というベスト3になった。だが真の1位は「裸芸人は嫌い」で、なんと55%を上回った。断トツと言っていい。

 事件化して世間を騒がせたこともある。97年には江頭2:50がテレビ東京の企画でトルコのレスリング会場で全裸となり、現地警察に拘束。罰金刑を科せられて「国辱もの」と非難された。江頭は13年にもDVD発売記念イベントでもアクシデントで下半身が露出するアクシデントに見舞われ、罰金20万円の略式命令が下されている。

 02年には極楽とんぼの山本圭壱(49)が、大学学園祭のステージで下半身を露出、相方の加藤浩次(48)と共に書類送検された。ただ、こちらは観客が「脱げ」コールを行ったというから、同情の余地はありそうだ。

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