誰も知らない「自衛隊」南スーダンPKOの最前線 タバコも酒ものむ“生身の隊員”報告

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“きれいな汚水”

 技術面だけではない。自衛隊はその規律正しさもつとに知られている。たとえば服装。暑さのあまり他国の隊員が上着を脱いで作業していても、自衛隊では絶対にそれをしない。作業服の着用もケガ防止、安全確保の意味合いがあるからだ。

 作業現場も整理整頓が行き届いている。資材は指定された場所にきちんと置いているし、車輛は国内の駐屯地と同様、同じ方向に等間隔でビシッと停めている。自衛隊にとって当たり前でも、他国にとっては驚愕の光景なのだろう。UNMISSの軍司令官をして「派遣国の模範」と言わしめた。

 衛生面も言うに及ばず。ちなみに宿営地のトイレは水洗だ。日本隊は独自の汚水処理システムを持っており、洗面所やトイレなどから流れる汚水を浄化してから用水路に流していた。どこよりも“きれいな汚水”だったから、難民が押し寄せてきたとき、用水路で洗濯、そしてシャワーを浴びる子供までいたほどだ。中力1佐はこう胸を張る。

「この汚水処理システムがあったのは日本隊だけです」

 カンボジア派遣のときから時間の正確さも変わらない。1日の日課は国内にいるときとほとんど同じ。

「カンボジアでは、地元の人たちが我々を時計代わりにしていましたよ。日本隊が宿営地を出るのを待っているような状態。日本隊が出てきた、じゃあ8時だ、というわけです」(第1次派遣施設隊の部隊指揮官だった元陸将の渡邊隆氏(63))

 腹が減っては道路補修もできない。食事はどんな具合だったのだろう。

「とにかく生野菜があまり食べられませんでした」(中力1佐)

 国連から提供されるのは現地の野菜と硬い肉。野菜はすべてボイルした。日本から送られてくる真空パックのアジやサンマの美味しさが身に染みた。

 献立を決めるのは1人だが、炊事を担当する隊員十数名がローテーションで日々の調理を行った。

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