長寿世界一のイタリア「チレント」地域 海でも山でも“地中海食”と真似したい認知症予防法

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イタリア「チレント」地域で見つけた長寿の秘密(4)

 地域の平均寿命は男女合わせて87歳、住民7万人ほどの中に百寿者が数百人――世界一の長寿地域・イタリア「チレント」に現地取材で迫るシリーズの最終回である。長寿の要素には、「地中海式ダイエット」でも知られる健康的な食生活や、孤独と無縁のコミュニティ形成などがある。日本人が真似できる点も多いのだ。

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 ナポリから南東に120キロほど下った、ティレニア海に面したアッチャローリやピオッピなどの小集落をふくむチレント地方。地域としてのチレントは広い。むしろ面積は山間地のほうが大きく、海辺の集落を訪れただけでは、世界一の長寿地域の全貌は見えないだろう。そこで、ピオッピから内陸に20キロほどの山上の集落、セッサ・チレントに向かった。

 村役場を訪ねると、村の語り部であるアントニオ・ミリオリーノさんや、村の美しい広報担当、アントネッラ・アグレスティさんら5人が迎えてくれた。この小さな村にとって、長寿は村おこしの大事なネタになっているようだ。アントニオさんによると、

「1302人の住人のうち100歳を超えているのは、昨年、105歳の方が亡くなってしまったのでいまは4人。全員がセッサ・チレントの生まれです。90代が33人、80代が112人。過去25年に100歳を超えた人は13人います」

 海沿いの集落ほどではないが、長寿であるには違いない。ここでは、どんなものを食べているのか。

「よくとれる作物は野菜全般のほか、インゲンマメやエンドウマメなど。オリーブや小麦も作っていて、栗やナッツ類も名産です」

 武庫川女子大国際健康開発研究所の家森幸男所長によれば、

「栗や木の実を食べるとマグネシウムがとれる。肥満になりにくく、高血圧や高脂血症も少なくなります」

 という。むろん、山中だから青魚は獲れるわけがない。アントニオさんは、

「肉は豚が中心です。みんなでさばいて、油も石鹸やコスメにするなど無駄なく徹底利用するんです」

 と言うが、魚もしっかり食べるのだという。

「チレントという地域の特徴は、歴史的に各地の集落が連携し合ってきたところにあります。ここセッサ・チレントの場合、昔から海辺の人たちがここに魚を運んできて、こちらでとれた野菜や栗、小麦などと物々交換してきました。1キロの魚と1キロの栗、という具合にね。ですから私たちは、祖先の代から新鮮な青魚をたくさん食べてきています。冬は干しダラですが」

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