「大成建設」VS「東京地検特捜部」 主役2人の意外な因縁

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 もはや、泥仕合――。

 リニア中央新幹線を巡る談合事件である。東京地検特捜部の捜査を受けていたゼネコン4社のうち、鹿島建設と大成建設に今月1日、2度目の“ガサ”が入った。

 司法担当記者の話。

「昨年12月中旬の1度目のガサは当然、他の2社(大林組、清水建設)にも行われたのですが」

 その後、大林、清水の2社は談合を認めたものの、

「残りの2社は疑惑を否定しつづけていて、業を煮やした特捜部が、“追いガサ”に踏み切った」(同)

 これに怒りを露わにしたのは、大成を担当する、ヤメ検の木目田裕(ひろし)弁護士。

 先の記者が続ける。

「翌日になって特捜部に、抗議書を送りつけたのです」

 その中身はというと、

「弁護士が弁護の為に作成した資料まで押収するのは、捜査としてアンフェアだと」

 それだけでなく、

「検事が社員を社長室に呼びつけ、“社長の前でも嘘をつくのか”“ふざけるな”と怒鳴りつけたといった、当日の生々しい捜査の様子が書かれていたのです」(同)

 この動きにさらに反応した特捜部は2日夜、大成に3度目のガサ入れを敢行。

 ここまで激しい応酬となった背景には、さる“因縁”があるという。

 司法関係者が声を潜める。

「実は、現特捜部長の森本宏さんと木目田さんは、司法修習期が森本さんが1つ上ということもあり、かつては大の仲良しでした。どちらも優秀で、検事総長候補と目されていたのですが」

 2人の関係に転機が訪れたのは2002年のこと。

「木目田さんが、出世街道を降り、弁護士に転身したのです。その後、彼は企業の危機管理の専門家として頭角を現し、いまや所属事務所随一の稼ぎ頭です」

 一方の森本氏は、

「後輩の活躍を後目(しりめ)にキャリアを重ね続け、昨年9月に現職に就いて間もなく、リニア談合という大型事件に着手したというわけ」(同)

 好敵手同士が舞台を変え、火花を散らしているのだ。

週刊新潮 2018年2月15日号掲載

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