長寿世界一のイタリア「チレント」地域 “三大疾病”“アルツハイマー”が極端に少ないワケ

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「三大疾病」「アルツハイマー」が極端に少ない秘密とは

 アッチャローリの東数キロのピオッピにジュゼッペ・スカラーノ医師を訪ね、補ってもらった。

「私たちはディ・ソンマ教授らと一緒に、チレントに住む90歳以上のお年寄り29人を対象に調査を重ねました。チームには精神科医や心理学の専門家、栄養士などもいて、お年寄りのDNAやメタボリック症候群を引き起こす因子、心臓病やアルツハイマーのリスクにつながる細胞内タンパク質などを調べました。すると、チレントのお年寄りは精神的に60代と同等に健康で、がん、アルツハイマー、心臓病、脳血管疾患、糖尿病と、ほとんど無縁でした」

 では、原因はなんと結論づけられたのか。新鮮な地中海料理を食べる際も、

「伝統的に塩はあまり使わず、夜はたくさんは食べない。甘いものも控えめ」

 その影響か、太った人はまず見かけない。加えて、

「豚を解体したらみんなで分け合ったことが象徴的ですが、地域で同じ食事をし、全体が長寿になったとは言えます。また腸内細菌がよい状態の人が多く、一種の長寿遺伝子が原因とも考えられます。みな健康診断も受けないのに、大病を患った人がいません。若いときから海に出たり畑を耕したり、身体を動かしてきたことも大きいでしょう」

 お茶の水健康長寿クリニックの白澤卓二院長にも聞いてみた。

「地中海沿岸の食文化でオリーブオイルと魚、ワインが3本柱の“地中海食”は、とりわけ認知症予防に効果があることが数々の調査研究で明らかになっています。ほかの食文化と認知症との関係を示す論文はほとんどないんです。オリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸のオレイン酸や、魚の油が含むオメガ3脂肪酸は、アルツハイマー予防に効果があることが知られます」

 そして、こう強調する。

「アッチャローリ周辺の人は、より新鮮な魚を食べられ、しかも青魚に含まれるDHAやEPAは動脈硬化や認知症の予防に効果があることがわかっている。彼らが伝統的に飲んでいる赤ワインも、レスベラトロールという成分を多く含み、長寿遺伝子を活性化します。地中海食のよい部分を抽出したお手本ですね」

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