長寿世界一のイタリア「チレント」地域 “三大疾病”“アルツハイマー”が極端に少ないワケ
イタリア「チレント」地域で見つけた長寿の秘密(2)
長寿の秘訣を探るべく、南イタリアのチレントを現地取材。地域の一角、人口500人ほどのアッチャローリ地区に暮らすジュゼッペ・ヴァッサッロさん(95)は、妹が住むニューヨークを訪れてもハンバーガーは口にしないとか。魚や野菜が中心で、肉は食べても鶏やウサギなど白い肉を食べてきた。どんな料理にも使うオリーブオイルが「薬代わり」だそうだ。
「振り返っても粗食でしたが、いま思えばそれがよかった。意識していたわけじゃないけど、理にかなった健康食だったようです」
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続いて、すぐ近所に住むアントニオ・ヴァッサッロさん(102)とアミーナ・フェドゥッロさん(95)の夫妻を訪ねた。
「私は漁師で、妻は果物を売って生計を立ててきました。食卓の中心は、やっぱりイワシなど青魚と野菜や豆、そしてオリーブオイル。以前は赤ワインも飲みました。肉はあまり食べてきませんでしたね」
と、先のジュゼッペさんとほとんど一緒だが、
「塩味は薄めです。それから昼に多めに、夜は少なめに食べてきましたね」
こんな新たなヒントも飛び出した。ちなみに、アントニオさんはいまも着衣や脱衣はひとりでこなす。また、アミーナさんは詩を書くのが日課だという。
「この地域の長寿の理由としては次のようなことが挙げられます。食べすぎないこと。新鮮な魚や野菜、オリーブオイルやワインに恵まれていること。住民が家族のように仲がよく、ストレスがないこと。行動的な人が多いこと。そして、笑顔でコミュニケーションをとる人が多いことです」
そう話すのは、2016年からチレントの長寿について研究を続けるローマ・サピエンツァ大学医学部のサルヴァトーレ・ディ・ソンマ教授。ジュゼッペさんの話をなぞるような分析だ。
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