中居クンの“カラ元気”に感じるもの寂しさ「平昌五輪」メインキャスター採点表
勢いのあるときに許されたトンチンカン
“元SMAPの中居クン”に感じる残酷さは、同じくジャニーズ残留組の木村拓哉(45)と通じるものがあります。しかし、ドラマ「BG~身辺警護人~」(テレ朝系)のキムタクは、スタッフや共演者に配慮されながらオッサン姿を慎重にさらしているのに対して、生放送がメインの五輪中継のMCを務める中居の場合、そうした配慮はされにくい。にもかかわらず、当人の仕事ぶりも、変化を見せようとしているキムタクとは対象的で、“昔の中居で出ています”という具合だから、見ていて物悲しくなってきます。
SMAP解散の重さ、暗さが世間に知れ渡ったいま、彼の軽さ、明るさは、上滑りしている。型通りの言葉でも彼がオチャラケ気味に語ると浮揚感、浮遊感みたいなものが出たのに、そのマジックはもう効いていません。
今度の五輪キャスター就任が発表されたときも「選手の皆さんの活躍を想像すると、早くもワクワクが止まりません」とありきたりなコメントを出していたし、大会が始まってもスノーボードの中継で「さぁ、1回目の滑走が終わりました。手に汗握るとはこのことですかね」。手袋をしているとはいえ、極寒の平昌の屋外ですよ。慣用句とはいえ「手に汗かいてないだろ!」とツッコんでしまいました。
風の影響がいかに競技に影響するかを解説者に説明されたときも、中居の返しは「(風は)いつ吹いてくるかわかりませんからねぇ」。爺様婆様の時候の挨拶じゃないんだから。
一緒にスペシャルキャスターとして起用されて競技場の近くにいる高橋尚子(45)に呼びかけるときも、「現場のQちゃーん!」。冬季競技の出身者ではないとはいえ、金メダリストをつかまえて、それはないでしょう。
考えてみれば昔から中居の司会って、こんなものだったんでしょうね。勢いのあるときなら許されたトンチンカンも、熱が冷めた後に見せられてしまうとツラい。“SMAP・ジャニーズ騒動”の今後にもよりますが、「東京オリンピックで中居がメインキャスターをやるかやらないか」という賭けを現段階でするのなら、ワタシは「やらない」ほうに賭けます。
ただ、中居にもいいところはある。スノーボード男子ハーフパイプで平野歩夢(19)がショーン・ホワイト(31)に破れて銀メダルに終わったとき、アシスタントの宇内が残念がって、局アナという立場なのに「やはり金メダル……」と失言しかけたのを中居が引き取って、優勝したホワイトを讃えて中継を締めました。これには感心したし、こういう“ツラいオッサンとしての技”をもっと見せてくれるのなら、中居にも次があると思うんですけどね。
――お次は、中居と同じくアテネ以来の8回連続でテレ朝のキャスターを務めている松岡修造(50)。
修造はいまや、ただの熱血野郎、筋肉馬鹿ではありません。励ましの言葉を記した日めくりカレンダーや人生訓の著書が売れているだけのことはあり、TVでも短い枠の中で何が言えるのか、何を言うべきなのか、という点に気を使って話をするようになってきています。
平昌五輪でも、たとえば「報道ステーション」の現場中継でスタジオから出されたユルい質問に対して、訊かれたこと以上にきっちり答えたりしていましたし、スキージャンプ男子ラージヒルの予選でも、かなりうまくやっていました。風が読めなくて選手たちが苦労していることを受けて、中継のアタマで修造が見せたフリップにはデカデカと「心はいつも日本晴れ」とあって、何を言い出すかと思ったら、「風はコントロールできなくても、心だけはコントロールできる。みんな、日本晴れで飛んでいけぇ!」。
ジャンプが終わった後に解説の船木和喜(42)が「風が前半はなかったんですけど、下はあったんですよ」と、ちょっと意味不明なことを口走ったときも、修造はいいタイミングで「下ってどういうことですか?」と問いかけて、船木から「テレマーク付近ですね」という答えを引き出していました。
ジャンプ台の下から戻ってくる葛西紀明(45)をつかまえてのインタビューでも、「金メダル」という言葉を自分の口からは出さず、押し付けない形で葛西から言わせようと工夫して問いかけていた。この点、前述のTBSの宇内アナなど、無神経に軽々しく金キン騒ぎ立てるアナウンサーやリポーターは、修造の爪の垢を煎じた茶を現場で飲んでほしいくらいです。
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