ボンカレー50周年「知名度90%超」CMのないロングセラー商品の意外な悩み
地道な営業に大ヒットCM
こうなると営業マンの出番だ。「論より証拠」と小売店で試食会を開き、とにかく食べてもらった。パッケージモデルを務めた女優・松山容子さん(80)のホーロー看板も制作。1日15枚のノルマで小売店に貼っていった。今でもファンが多い看板なのは、皆さんもご存じだろう。ちなみに看板には「牛肉 野菜入り」と大書していた。これはカレールーと勘違いして具の材料も買う人が少なくなかったためだ。
「地道な販売促進を重ねたことが素地となり、73年、笑福亭仁鶴さん(81)のテレビCMで爆発的なヒット商品となります。仁鶴さんの『3分間待つのだぞ』という台詞は流行語となりました」(同・製品部)
だが、たとえ品質の高い商品が、話題のCMで大人気のベストセラー商品になっても、50年間も愛されるロングセラー商品となるのは至難の業だ。ボンカレーの息の長い人気は、関係者の努力だけでなく、時代の追い風を受けたことも大きかった。
「キーワードは“核家族化”です。独身男性といった単身世帯だけでなく、共働き世帯の増加で、ボンカレーは夫婦の夕食としても食べられるようになりました。また71年から74年までに生まれた団塊ジュニア世代が小学生の年齢を迎え、“鍵っ子”と呼ばれるようになり、おやつ代わりにボンカレーを食べるというライフスタイルも定着します。現在でも、夕食にボンカレーを食べてくださるご家庭も少なくありません。お父さんが辛口、お母さんが中辛、お子さんが甘口という好みの場合、作り分けるのは大変です。それを3種類のボンカレーを温めれば、家族みなさんの好みに対応できます」(同・広報室)
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