今度は「ワクチンは無意味」と言い出した近藤誠 そのウソを暴く

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今度は「ワクチンは無意味」と言い出した近藤誠――大場大(上)

「がん放置理論」で音に聞こえた近藤誠医師。患者を弄ぶ振舞はがんに留まらず、今度は『ワクチン副作用の恐怖』なる書籍を上梓、ワクチンは無意味と言い出したのである。大流行のインフルエンザに麻疹、風疹……近藤理論の信者もそうでない方も必読の近藤批判。

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 治療への恐怖心、医師への不信感につけ込み誇大にリスクを煽る。その手法で、極めてシンプルな「がん放置」という方策、いやエセ医学を広く流布させた人物。それが他ならぬ、近藤誠氏です。いわゆる「がん放置理論」で音に聞こえるこの元慶應義塾大学医学部放射線科医師が、『ワクチン副作用の恐怖』(文藝春秋)を上梓したのは昨年11月のこと。

 このいわゆる“ワクチン否定本”には、これまで同様に看過しがたい誤謬が散見され、糺しておくべきだと筆を執りました。『がんとの賢い闘い方―「近藤誠理論」徹底批判』(新潮新書)の著者として。

 まず、なぜワクチンが必要なのか。

 かつて人類にとって脅威であった天然痘を制圧できたのはワクチンのお蔭でした。現在も少なくない場面でその恩恵に与(あずか)っているわけですが、反面、ネガティブな感情が惹起されやすいのも事実です。なぜなら、ワクチンは症状もない健常な方たちに接種されるため、成果が目に見えて実感されにくいから。そして、ワクチン自体が医薬品であるため、確実に予防できるとは限らないし、副作用(副反応)が否定できないから。

 ちなみに、ワクチンで予防できる疾患として、主に以下の疾患が挙げられます。

 季節性インフルエンザ、ジフテリア、破傷風、百日咳、水痘(みずぼうそう)、結核、日本脳炎、インフルエンザ菌b型(ヒブ)感染症、麻疹(はしか)、肺炎球菌感染症、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、ポリオ、B型肝炎、風疹(三日はしか)。

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