北朝鮮の美女応援団、入団にはカネとコネ メンバー供給源「金星学院」の秘密

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 北朝鮮から、韓国で行われる平昌(ピョンチャン)五輪に派遣される選手は、スケート、アイスホッケー、スキーの3競技で22人。ところが、選手団のその人数に比べ、不釣り合いなくらいに大挙して押しかけるのが、230人の「青年学生協力団」、つまりは「美女応援団」である。

「デイリーNKジャパン」の高英起編集長によれば、

「昨年の暮れには、美女応援団の書類選考は終わったと聞きました。選考基準の1つが、身長165センチ以上体重50キロ以下であること。そして、1月9日、北朝鮮の平昌五輪参加という南北合意がなされると、平壌市内の体育館でダンスや集団行動などの練習が本格的に始められました」

 実は、美女応援団はほぼ1つの学校の女子生徒、あるいはそのOGで占められているという。

 それは、平壌市にある「金星(クムソン)学院」という芸術系の学校だ。

「金星学院は、金日成主席時代の1966年、課外学習機関である万景台(マンギョンデ)学生少年宮殿の付属学校として創設されました。芸術分野の専門的な人材の育成を目的としたものでした」

 と、龍谷大学の李相哲教授が解説する。

「現在は、日本の小学校にあたる5年制の人民班、中学校にあたる6年制の中等班、専門学校や短大にあたる3年制の専門部、大学にあたる大学部が設けられています。学科は吹奏楽部、舞踊部などに分かれ、5歳から20代前半までの男女が在籍している。入学には、楽器を1つ完璧に演奏でき、容姿端麗であることが必要だと言われています」

 しかし、その2つを兼ね備えていても、金星学院に入れるわけではない。

 コリア国際研究所の朴斗鎮所長の話。

「北朝鮮には、出身成分という階層制度があり、核心階層、動揺階層、敵対階層に分かれています。そのうちの上位25%の核心階層の人たちしか、金星学院には入れない。素晴らしい音楽的才能を持っていても、出身成分が低ければ、どうしようもありません」

 さらに、もう1つ肝心なのは賄賂だという。

「北朝鮮は、賄賂漬けの社会です。役所での書類発行、市場への出店、警察にお目こぼししてもらうのにも袖の下は欠かせない。当然、金星学院への入学も例外ではありません。権力者に賄賂を渡し、口利きをしてもらわなければ何ごとも進んでいかないのです」(同)

 カネとコネがないと、美女応援団には入れないのだ。

週刊新潮 2018年2月1日号掲載

特集「『平昌五輪』の妖花 北朝鮮『美女応援団』に5つの謎」より

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