心ある大人がため息をつく… 安倍政権「働き方改革」のトホホな実態

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会社には週1出勤

 また、最近「働き方改革」先進企業として取り上げられることの多いリクルートについても、社員は、

「うちでは、テレワークを積極的に取り入れていて、社員は会社に来るのは1週間に1度程度のケースも多い。新入社員ですらこの風潮にどっぷりのことが多いんです。でも、彼らって必死で仕事を覚えなきゃいけない時期でしょう。先輩に教えてもらわなきゃいけないこともあるのに、業務の内容が見えず、コミュニケーションも取れないテレワークで育つのか心配。それに、若くて体力もあり、知性も柔軟な時期にバリバリ働かなくて、一体いつ働くのか。一度も“モーレツ”をやったことのない世代が多数派になった時、会社がどうなるのか、とても不安です」

 と言うのである。

「そもそも、会社に来ないので、先輩は若手が何に悩んでいるのかもよくわからないし、相談にも乗れない。こちらの方がよほど労務上の問題と思いますが……」

 とりわけ、建設、物流、医療といった業界では、業種の特殊性によって、労働時間削減が難しい。だからこれらの関係者も一様に、

「人手不足や賃金の低さといった、業界のシステムを変えない限り、働くな、と言われても無理がある」

 と嘆息するのだ。

(下)へつづく

週刊新潮 2018年2月1日号掲載

特集「キリギリス栄えてアリ滅ぶ 心ある大人がため息をつく『働き方改革』」より

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