職場不倫は誰もが巻き込まれる――AV出身「元日経記者」の警告
上司や先輩と肉体関係
当の私はというと、社内のどうでもいいだるい飲み会や部内ゴルフ大会なんかを回避したかったので、表面上は社外評価重視型を装い、先輩の誘いより取材アポ、上司との飲み会より担当企業の懇親会、を優先していた。ただ、それでは職場で可愛がられないので、肉体を武器に上司に可愛がられようと打算的に軽めの不倫チックな関係を狙っていたのだ。
もちろん、私のようなふざけた人間だけで会社は構成されていないし、そのような態度が一般的とは言えないだろう。しかし、冒頭でも触れたとおり、職場不倫そのものが現代において一般人を巻き込む広がりを持っている。
企業にはかつてのように結婚前の女性(多くが結婚を望む)と独身・既婚男性だけではなく、既婚女性も含めた多種の人が居合わせるようになった。さらに、女性の収入が徐々に増え、女性が生活のための結婚を強く望むとは限らないようになった。
不倫は一部の甘い誘惑に乗る昼下がりのマダムや危険な恋に溺れる若い女のものだけという時代から、特別意識しなくても巻き込まれる類のもの、ごく一般的な人が陥る可能性の高いものになったのだ。
不倫と一口に言っても様々な類型がある。
例えば、あるミュージシャンと関係を結び、世間を騒がせたベッキータイプ。
相手が既婚者であることを知らない、あるいは受け入れていない関係である。既婚男性と独身女性とのカップルであれば、独身女性の方が不倫関係に飽き足らず、できれば彼を自分のものにしたいと考える。離婚する気もない場合にこういったタイプの不倫関係を結んでしまうとかなり追い詰められる。
私の会社員時代の先輩男性社員で、若い時に取材先の秘書であった女性と結婚したAさんは、子供も生まれてやや刺激のなくなった夫婦関係を維持したまま、職場の若手女性社員と恋愛関係になった。もちろん、既婚であることは相手の女性も承知していたが、だんだんと関係が続くにつれ、離婚して自分と結婚して欲しいとせがむようになり、彼は彼でやや優柔不断というか優しすぎるというか、「うん、考えてみる」的なことを言ってズルズルと先延ばしにしていたため、最終的には金曜の夜に彼女の家に軟禁状態になり、奥さんに捜索願を出されるという事件にまで発展。離婚には至らなかったものの、ひたすら夫婦仲が悪くなった。
今井絵理子氏は…
また、それとは違うタイプで、結婚を目指していないために、特に葛藤なく不倫関係に陥るキャリア女性パターンもあるだろう。女性が結婚を望まないため、男性の婚姻関係の破綻を希望しておらず、自分も結構忙しいから、週末に会えないなどの状況にもあまり不満がたまらない。
そして、最もトラブル発生率が高いパターンは、「不倫の刺激が好き」「障害のない恋愛だと燃えない」タイプの独身と、既婚者との不倫だ。報道レベルで推察するに、今井絵理子氏の関係はややこの気(け)がある。当然、「刺激が好き」な相手は、スリルを味わうためにあえて危険な賭けに出ようとする。不倫する人の多くが潜在的にこの要素があるとも言え、知らぬうちに大きなトラブルに巻き込まれることになる。
私の知人Bは、自分が既婚者であるにもかかわらず、不倫相手がSNSで「匂わせ」投稿を続けて良からぬ噂が広がり、奥さんにも探偵をつけられた。自業自得なため、受けたダメージの割に同情は引かない。
当然、実利目的の女性が既婚男性を利用しようとする不倫関係もある。社内で得をしようとして上司の誘いに乗った私のようなOLもそうだし、生活向上のために愛人稼業に勤しむ「パパ活女子」たちもこのパターンだ。
このタイプは、キャリア女性パターンと同様、トラブルは起きにくい。独身女性側に、愛情とか独占欲とかいうものとは違う目的があり、それが満たされている限りは、相手の奥さんにバラしたりしない。お金や成績が欲しい女性と、若い女性との肉体的繋がりが欲しい男性のウインウインな関係になる。
しかし、そうそうスムーズにことが進むか、というと実はそうでもないのだ。男性側に「女性が欲しいのは自分ではなく、自分のお金や権力だ」という割り切りが必要だが、男の人は女性側がそう思っていればいるほど割り切りのできない生き物だからだ。
私は社外評価重視型の仕事姿勢をフォローしてもらうために社内の上司や先輩とちょっとした肉体関係になったことは結構ある。そして当然のごとく毎回、スムーズどころか大変悲惨な事態に陥った。
(下)へつづく
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