NYタイムズが1面で報道 欧米メディアは山口敬之の「準強姦事件」をどう伝えたか
「誰もが飛びついた」
「彼女が最初の記者会見を開いたときに、私は驚きました」
と話すのは、記事を書いたモトコ・リッチ支局長本人である。
「ただ、この件を大々的に報じたのは、あなた方(本誌)に加えて、ジャパンタイムズなど、日本における英語で発行されているマスコミだったわけです。しかし、日本のマスコミでは、きわめて小さな扱いしかされませんでした。また、取り上げ方が小さかったというだけでなく、彼女が記者会見で語ったことをそのまま伝えたに止まり、それ以上の独自の調査をしようという努力が見られませんでした。私が理解している限りでは、詩織さんの告発は、きわめてセンセーショナルなものであったはずです」
そして、「なぜならば……」と言葉を継ぎ、
「その対象が日本で最も有名なテレビジャーナリストのひとりであり、また、それは大きな事件であるからです。そのような告発をしたという事実だけでさえも、この件を更によく調べようと思わせるものであり、アメリカであったならば、そのような告発がなされれば、誰もがこの一件に飛びついたでしょう」
それでもNYタイムズは山口氏にも2度インタビューするなど、長い取材期間を経て、このような形に落とし込んだのだった。
リッチ支局長はこうも付け足す。
「日本の法律には、“もしあなたが、脅迫や暴力によって性行為に及んだ場合……”とあり、その相手と合意を得ることが必要であるか否かということは書かれてはいません。しかし、アメリカでは、『合意(の有無)』というのが、レイプを定義するにあたり、きわめて重要な概念になります」
ここは日本ではあるが……詩織さんは意思表示さえできずベッドで組み敷かれている最中に目が覚めたと主張し、山口氏は民事訴訟における答弁書のなかで「合意」だと述べている。
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