森友文書を破棄 口を開いた「佐川長官」に職員は悲鳴

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「この人だけには…」

 こまめに上司に報告したところで、記録が破棄されてしまえばリスク管理もヘチマもあったものではない。事実、国税庁のある職員は、

「昨年11月、職場のパソコンを立ち上げると、佐川長官の署名入りで、書類管理の徹底を注意喚起するメッセージが表示されたことがありました。『この人だけには言われたくないよな』と皆で話し、すぐにそのメッセージを消しました」

 と、突き放す。実際、佐川長官のせいで現場では実害が出始めているという。例えば確定申告の際、取引先の名称等を詳細に記した文書を任意提出するのだが、

「長年、任意提出にご協力いただいていた方から『佐川さんみたいな人がトップでは信用できない。これからは、任意の文書は一切出さない』と言われてしまいました。任意提出に理解を示してくださるのは国税庁に友好的な方。そういう方の信用も損なっているのは深刻です。これから確定申告を迎えるという時期なのに……」(同)

 元朝日新聞編集委員で国税庁担当記者だった落合博実(ひろみつ)氏が嘆息する。

「日本の税制は申告納税制度が柱となっていて、なかでも確定申告は他とは比較にならないほど、国税庁にとって重要な業務ですが、これから『佐川国税』への苦情が増えることも予想されます。『税理士界』での佐川長官の〈些細な問題でも……〉発言には、『大変な問題で対応を誤ったあなたが言えることなの?』と笑うしかありません」

 職員からも納税者からも、佐川長官が信用を失っているのは「確定」のようだ。

週刊新潮 2018年1月25日号掲載

ワイド特集「一能一芸なきものなし」より

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