海外で「秋田犬」ブーム! 保存会会長は「中国のニセモノ」に激怒
小学5年から秋田犬に夢中
「就任したのは16年4月。保存会は昨年、創立90周年を迎えましたが、秋田出身でない会長は史上初だそうです。当初は『おらが村の犬』でしたからね、『他県の者が会長なんて……』と言う声もありましたよ」とは遠藤氏。
それがなぜ会長に推されたかといえば、誰よりも秋田犬に詳しかったからだ。
「いやいや、ただ90年の歴史の中で、会長職もだんだん地元の名誉職化してきたんですね。秋田犬を飼ったこともない人が務めていたりとか。そういう方に比べたら、秋田犬への愛は大きいでしょうね」
地元の大阪で、秋田犬を見初めたのは、小学生の時だ。
「母の実家のそばの犬屋に可愛いのがおってね、行くたびに可愛がってたんですけど、辛抱たまらず、貯めていたお年玉で買ったんですよ。3万5000円だったかな? 当時、『黄金の犬』ってドラマがあってね、その犬が『龍』って名だから、同じ名前をつけて……」
しかし、7カ月で死んでしまう。
「コロリ病といわれた、まだワクチンもなかったパルボウイルスに罹ったんです。落ち込んでいるのを見るに見かねたのか、父が新しい秋田犬を買ってくれたんですが、これも8カ月で……。すると今度は犬屋が、子犬は弱いからと大人の秋田犬をくれたんです」
中学生になると、近所の犬好きの“おっちゃん”に誘われ、秋田犬の展覧会に行くようになる。だが、そこで唖然としたという。
「同じ秋田犬なのに、自分の犬と全く違うんです。とにかく美しい。『なんでこんなに違うのか?』と考えるようになりました」
高校に入ると、自分で育てた秋田犬を展覧会に出すようになる。しかし、ずっとビリが続く。
「大阪にある秋田犬で有名な店とも知り合いになり、いろいろ聞きましたよ。でも、『大阪産の秋田犬に上位は無理』というんです。『エエのできへん、水も悪いし、環境も適してない』と。そんなはずないやろ、と思ってね、『東にいい犬舎ある』と聞けば見に行って……全国を回りました。それで、なんとなく分かったんです。大阪の犬舎は雄犬ばっかりいい血統を求めるんですが、雌犬も重要じゃないのかと……」
そんな高校生、いるか?
「最初の頃は何人かいたんですけどね……。でもまあ20歳の時、昭和63年に大阪産の秋田犬が日本一になるんですよ。僕の犬です」
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