カトリーヌ・ドヌーブ曰く「女の権利が女を弱くする」 #MeToo運動にひとくさり
しかし、これが掲載されるや、欧米では“性被害者を愚弄した”と論争が起こり、15日付の仏リベラシオン紙で彼女は、不快に思った人へは謝罪するとしたが、
〈SNSによる告発はメディアのリンチだ〉
と改めて主張している。
「さすが、アムールの国、フランスの女優です」
と賛辞を送るのは、AV女優や日経新聞記者を経て、社会学者として男女問題を扱う文筆家の鈴木涼美氏だ。
「『#MeToo運動』は、常に男性が権力を振りかざし、女性を性的に搾取していると強調していますが、本来、異性の間では女性も男性を翻弄したり袖にして相手を選ぶ、ある種の権力を持つ筈です。この運動は、そういった力をなかったことにして女性を弱者と決めつけ、真偽が定かでない情報でも男性を吊し上げているのです」
いったい何が起こっているのか。実際、米国では運動が起きて以降、世の男性の多くが女性に対しダンマリを決め込んでいるという。
在米ジャーナリストの瀧口範子氏が解説する。
「私自身は運動に賛成の立場ですが、米社会ではやり方が過剰になっていて、女性が不快だと思う発言をした、ちょっとでも身体に触れたなどの行為が、レイプなどの性的暴力と一括りにされ論じられている。セクハラの定義が曖昧になり、男性が『何も言いません』『何もしていません』と、自らに手錠をかけて職場へ行く状態になりつつある。このままでは男女の機微が無くなると、ドヌーブさんは危機感を持っているのでは」
書簡の中で彼女は、職場で膝が触れる、異性に好意を示す仕草や求愛のメッセージを伝えるなど、そんな些細な事も告発され、会社から懲戒を受けたり辞職を強いられることが多発、社会的地位を脅かされている男性は数知れないと嘆く。
例えば、齢93となる「パパブッシュ」こと、H・W・ブッシュ元大統領もターゲットになった1人だ。
「高齢の彼は車椅子を使っているので、相手の背に手をまわして写真を撮る際、隣に手を伸ばそうとすれば、必然的に腰や尻のあたりに触れてしまう。そうした写真を証拠に、女性たちから不快だと訴えられたのです」
とは、北米在住のライター・關陽子氏だ。
「ブッシュ氏側は、あくまでもフレンドリーさを示す行為だったと体に触れたことは認めていますが、性的な興味によるものではないと疑惑を否定しています」
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