慶大生の父親殺人事件 「有名漫才師」の孫が容疑者、息子が被害者――数奇な家庭

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“親殺害”は増加傾向

 ライトさんは愛煙家として知られ、最高で1日に100本近く吸っていたという。そのために喉頭がんを罹患し、声帯を摘出する。手術後、食道を震動させる発声法を会得し、お笑いの仕事も続け、がん撲滅や禁煙を訴える講演活動にも力を入れた。

 そしてインターネットに多可三さんの名前を入力すると、禁煙団体の活動を熱心に続けていたことが分かる。父親の意志を継いだのだ。高校生の時は複雑な感情を持っていたかもしれないが、最終的には尊敬の念を持っていたに違いない。

 今回の殺人事件も経緯を見るに、智成容疑者が父親に複雑な感情を持っていたのは明らかだろう。祖父と父親は時間が解決したようだが、父と息子は最悪の結果に終わってしまった。

 殺人事件は昭和30年代を境に減少を続け、現在は横ばいだ。しかし家族間の殺人は減少せず、結果として比率を高めている。2016年には55%が親族間の殺人だと警察庁が発表した。

 高齢の配偶者が配偶者を殺害するケースが多数だが、10代が親や兄弟姉妹を手にかける事件も増加傾向を示しているという。こうした社会状況を、今回の殺人事件は象徴しているかもしれない。事実、ネットでは既に智成容疑者を擁護する声も決して少なくない。

週刊新潮WEB取材班

2018年1月22日掲載

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