佐藤栄作は腰にタオルで…大平正芳が舌鼓を打ったお膳と熱燗 宰相たちが愛した「名湯」「隠れ宿」
宰相たちが愛した「名湯」「隠れ宿」――山崎まゆみ(2)
厳冬ならではの雪景色が似合う日本海側にも、歴代の宰相が続々と足を運んだ伝統を持つ温泉宿がある。
富山県宇奈月温泉の延対寺荘。その前身、延對寺旅館は県下第2の規模を誇る城下町・高岡市にあり、吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、福田赳夫が訪れ“富山の迎賓館”と呼ばれた。
転機となったのは大正期の黒部電源開発だった。その玄関口となった宇奈月に一大温泉街の開発話が持ち上がる。地元では、延對寺旅館を経営していた初代社長・延対寺みよの手腕に白羽の矢が立ち、大正14年に延對寺旅館宇奈月温泉別館、現在の延対寺荘が建てられたのだ。...