岸信介も温泉で“ただの人”に、安倍首相は“赤ちゃんの頃から” 宰相たちが愛した「名湯」「隠れ宿」

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安倍首相は「赤ちゃんの頃から」

 現在、3本の源泉を混合することで、人が入れる適温にしている。pH9・01のアルカリ性単純硫黄泉は、肌触りはとろんとしているが、湯上りはさっぱりとした清涼感があるのが特徴で、通好みの泉質だ。

 そんな名湯をこよなく愛した岸に呼ばれて、娘である安倍洋子さんも度々訪ねてきた。著書『わたしの安倍晋太郎』には、昭和26年5月5日、安倍晋三現総理の実父にあたる晋太郎氏と、洋子さんが結婚した日のことが綴られている。

〈その晩の夜行列車で主人の実家、山口県の油谷町へ向かい、途中で湯田温泉に2泊いたしましたが、それが新婚旅行みたいなものでした〉

 ちなみにこのハネムーンで泊まったのも「桐の間」。以来、安倍総理もこの部屋を愛した一人となった。

「そりゃもう、赤ちゃんの頃からだわ。岸さんが滞在していると、洋子さんは晋三さんを連れてよう来られましたから。晋三さん、いつもガレージ辺りをちょろちょろしとったわ(笑)。久しぶりに来たと思ったら、すらっとしたカッコいい青年になっていました」

 と、まるで可愛い甥っ子を語るような面持ちの中野さんが続ける。

「ご結婚され、昭恵さんと一緒に来たのは、まだお父さんの秘書をしていた頃だったかしら。あそこはおしどり夫婦やからね~。総理になられてからも、挨拶にはよう来てくださいますよ」

(2)へつづく

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山崎まゆみ(やまざきまゆみ) 温泉エッセイスト。1970年新潟県生まれ。国交省任命「VISIT JAPAN大使」。跡見学園女子大で「温泉と保養」をテーマに講義中。著書に『だから混浴はやめられない』『続バリアフリー温泉で家族旅行』など多数。

週刊新潮 2018年1月4日・11日号掲載

特別読物「厳寒の冬に泊まってみたい! 宰相たちが愛した『名湯』『隠れ宿』――山崎まゆみ(温泉エッセイスト)」より

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