山口敬之の口癖は「安倍と麻生は今でも後ろ盾」 血税100億円を分捕った欠陥スパコン

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“もう1つ案件がある”

 その一方で、JSTからの約60億円の融資の経緯について、疑義を呈する声があがっているのだ。

 本誌既報の通り、16年度補正予算120億円の使い道が締切わずか2週間前、説明会に至っては4日前という強行軍で募集され、その結果、60億円の血税が齊藤氏の懐に転がり込むことになった。

「普段は理事から部長まで50人くらい出席する会議で揉んだ後、理事会に諮る。それがこの時はいきなり理事会が招集されて。しかもコンピューターの専門家なんて理事にいないからね」

 と、JST関係者。文科省関係者が後を受けて、

「“補正なのでとにかく速くやらなければ”というように議論を進めようとする中で、“短期間に60億も使い切れるのか”という異議申し立てもあったようです」

 更に、霞が関関係者は、

「この予算枠は、その後も募集がかかっていますが、審査通過はゼロ。前後の経緯から、齊藤案件ありきのスキームと考えざるを得ない」

 と指摘。それはともかく、このプロジェクトが失敗に終わっても融資額の1割を返却するだけで良しというのだから、今や納税者としては、成功を望む他ない。

 今後の捜査の展開を別の社会部デスクはこう見通す。

「詐取金額がどんどん積み上がっており、その捜査に加え、年明けの脱税容疑での再逮捕は既定路線。更に、“もう1つ案件がある”というふうに検察首脳は漏らしています」

 その「もう1つ」は判然としないのだが、

「政治家はともかく、補助金適正化法違反容疑で役人側を摘発する可能性はある。齊藤の不正を知りながら交付したならその者も同罪、と規定されていますから」

 最後に山口氏の動向について。齊藤社長の逮捕後も、

「検事には協力している」

「安倍さん、麻生さんとは今でも繋がっており、会いたければいつでもセッティングする」

 と複数に話しているという。永田町関係者によると、

「山口さんは総選挙が終わった去る10月31日、公邸に安倍首相を訪ね、1時間ほど話をしています。齊藤の逮捕前とはいえ、まさに新潮の言うベッタリさを売りにしたいのでしょう」

 落語「犬の目」は、病んだ目を犬のそれと入れ替えた後、犬の習性が染みついてしまった男を描いてサゲとなる。山口記者はその目を入れ替えたのだろうか。あろうことか、「日本シンギュラリティ党」なる政治団体を16年1月に届け出て、その代表者に収まっているのだ。シンギュラリティとは、齊藤社長のセールストークにあった「人工知能が進化してそれが人類を超える点」にあたる。

 さて戌の年、山口氏の更なる転身はあるか。

週刊新潮 2018年1月4・11日号掲載

特集「特捜部は鉱脈を見つけたか 『欠陥スパコン』で血税100億円を分捕った 『総理ベッタリ記者』の口癖は『安倍と麻生は今でも後ろ盾』」より

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