日本人初!「無補給単独」で南極点に到達した荻田泰永氏が語る“私の冒険家人生”

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海に落ちたことも…

「それまで冒険してきたエリアとは世界が違うんですよ。激しく氷が動いて、目の前で割れて、毎晩、寝ていると、そこらじゅうで氷のきしむ音が『どどどど』『きききき』『ばりばりばり』って聞こえてくる。すごく恐ろしい。自分が寝ている下の氷が割れない保証だってない。もちろん、そうはならないところを選んでいるけれど、可能性はゼロじゃない。いま自分がいる場所から見渡して、ベターな場所を選ぶのが精いっぱいで、それでも朝起きると、周りの風景が変わっている。氷全体が大きく動いていますからね。1日平均20キロ進むのですが、激しいブリザードに遭うと、そっくり戻されてしまったり。氷が割れて海に落ちたこともありました。マイナス35度で全身ずぶ濡れ。海温はマイナス1度くらいだから水の中に落ちても寒いとは感じないんだけれど、水から出た瞬間に凍るのが分かるんです。

 14年にはゾーマにリベンジマッチを挑んだわけですが、その時は48ターンで終わった。全行程の7割くらい行きましたが、乱氷(氷の山)が激しい年で、時間をとられてしまった。食料はまだ10日分ほど残っていましたが、これでゴールを目指すのは難しいと断念しました。

 本当は16年にも、もう一度、北極点に挑戦したかったのですが、できませんでした。北極点の場合、レゾリュートから飛行機をチャーターしなくてはならないんですけれど、航空会社がチャーター便を止めてしまったんです。北極点に挑戦したくてもできない。だからこの年は、カナダからグリーンランドまで約1000キロ、それぞれの最北の村をつないで歩く挑戦をしました」

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