エイズは「糖尿病より楽」――子作りも可能になった治療の最前線
根治は可能か
いかがだろうか。
順調そのものに見えるエイズ治療。今後の課題は何だろうか。ウイルスの増殖を抑えることに成功している今、注目は、予防の可能性、そして完治薬の開発である。
日本のエイズ治療の中核施設である国立国際医療研究センター病院の潟永(がたなが)博之医師は、この2点について次のように説明する。
「ワクチンはまだ完成には至っていませんが、海外では抗HIV薬を予防薬として内服し、効果が認められつつあります。いずれ、ワクチンは出来ると期待しています。一方で、根治については、まだ目途が立っていません」
一方、立川医師は、将来的に感染後の治癒を目指す最新治療として、HDAC阻害剤という薬がいま注目されていると説明した。
「ウイルスの遺伝子は、体内のリンパ球に入り込むとしばらくは眠っているのですが、いずれは絶対に起きる。この時に抗HIV薬が効きやすいのです。HDAC阻害剤は、この眠っているウイルスを起こして、殺すという薬です。優秀な叩く薬はあるのに、起こす薬はなかったので、画期的なアプローチです」
[3/4ページ]