「とんねるず」を見出した名物プロデューサーが語る「みなおか」の“人気と終焉”
大真面目なパロディ
とんねるずも僕もスタッフもみんなテレビが好きで、パロディをやることが大好きだった。「仮面ノリダー」や「北の国から」、「蒲田行進曲」などいっぱいあるんですけど、本物志向で撮りたかった。ノリダーには、本物の「仮面ライダー」のナレーターだった中江真司さんにナレーションをお願いし、本物の“おやっさん”である小林昭二さんにも出てもらい、「北の国から」では地井武男さんに、「蒲田行進曲」には松坂慶子さんにお願いして、本物の役をやってもらっていました。
本物の「北の国から」はもちろん素晴らしいドラマで、評価もされていたんだけど、レギュラーの頃の視聴率は15%くらいでした。僕らが「みなさん」をやっている頃は、特番をやるようになっていたんですが、本物の放送の1週間前に「みなさん」で先行してパロディをやっていたんです。それから「北の国から」は視聴率30%行くようになったんです。もちろん相乗効果で、お互いに助かったんですけど、演出の杉田成道さん(現・日本映画放送社長)から「お前達のおかげで北の国からはさらに偉大な番組になった」と言われたこともある。ですから、「北の国から」は出来上がると真っ先に僕らの所に届けられるようになっていたんです。
――看板企画は次から次に替わったものの、番組は続いた。
「ノリダー」をはじめとする看板コーナーって、まずやっている本人が飽きてくる。次にスタッフが飽きて止めるわけですが、じゃあ次は洋画のパロディ、ものまね、食わず嫌い、キタナトラン、男気ジャンケン、細かすぎて伝わらないモノマネ選手権……次々と看板コーナーを替えてきた。野猿だって、ジャニーズJrのパロディなんだけど、楽曲は秋元康と後藤次利だし、それをエイベックストラックスから出したいというので、番組のなかでエイベックスの松浦社長に電話して認めてもらったり、本格的なんです。
「食わず嫌い」なんかは、番組が終わって飯食っている時に、「何が嫌い?」なんて話になるじゃないですか。そのときに中村江里子アナが言うんですよ。
「紅ショウガの赤色が移った焼きそばは生理的に受け付けられない」
なんだそれ!とか言っていると、貴明はラッキョウが食べられないと。言っているウチに、これでコーナーになるんじゃないの、という感じでしたね。もちろん、一生懸命考えたものもありますよ。
そういったこともカメラマンなど核になるスタッフが「オールナイトフジ」から続いていたから。愛があるんです。スタッフの側にもとんねるずからも。終わればみんなで飲みに行く。だから美術スタッフなどを集めて結成した「野猿」みたいなことも出来るわけです。紅白にも2年連続で出たりするなんて、今では考えられないですよ。
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