幸福に老いるためには“池上彰を疑え”!? 被差別高齢者にならないために
嫌老社会で「被差別高齢者」ならないためのサバイバル術――和田秀樹(下)
「高齢者にはお金がかかる」「老人はやっかい者だ」――こんなイメージが膨らみ、老いへの嫌悪感や拒絶感が強くなる昨今の日本。この「嫌老社会」で「被差別高齢者」にならないためにはどうすればいいのだろう。精神科医の和田秀樹氏が、サバイバル術を伝授する。
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年をとっても、すべての能力が衰えるわけではない。意外と影響がないのが一般知能で、反対に、感情をコントロールする能力は衰えやすい。これは前頭葉の機能が低下するためだ。
大脳半球の前方、額の奥の辺りにある前頭葉は、理性や感情、意欲など、最も人間らしい部分を司る。だが、早ければ40〜50代で老化が始まり、60〜70代になれば、だれでも確実に機能が低下していく。その結果、次の四つの老化現象が起きる。意欲の低下、感情抑制機能の低下(理性の低下)、判断力の低下、性格の先鋭化。ここでは「意欲の低下」に焦点を当てる。
前頭葉の機能が衰えてくると意欲や自発性が低下し、柔軟な発想ができなくなる。このため、これまでの経験からは判断しきれない意表を突く体験や、物事の変化を避けるようになる。しかし、それでは脳が老化する一方になってしまう。だからこそ、前頭葉は使い続ける必要があるのだ。
池上彰さんの番組が好きな高齢者は多い。なんとなくわかるが詳しく知らない事柄を、わかりやすく解説してくれるのを聞いて納得するのだ。しかし、それは脳の老化を招く。新しいことを知るだけでなく、「池上さんはそう言うけど、それはデータに基づく主張じゃない」とか「池上さんが言う以外に、こういうことも考えられる」などと疑ってみることが大事である。そうして人と違うことを考えるのが、前頭葉を鍛えることにつながる。
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