たまる内臓脂肪、「肉」「アルコール」との正しい付き合い方 隠れ動脈硬化のリセット術

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「レジスタンス運動」

 日常の工夫をもう1つ。阪本要一・東京慈恵会医科大学客員教授が言う。

「『NEAT』(ノンエクササイズ・アクティビティ・サーモジェネシス)という医学用語があります。決して本格的でなくとも、日々の暮らしの中で運動量を確保して代謝を活性化させようという意味で、例えば電車内では立つ、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う、家事雑用で始終体を動かすなど。厚労省は1日8000歩以上を目標にしていますが、不足分をこれで補えばいいのです」

 加えて千葉大大学院の横手幸太郎教授は、

「とりわけ高齢の方にとっては、有酸素運動とともに筋肉の維持が大事です。サルコぺニアを予防しながら内臓脂肪を減らす効果がある簡単な筋トレ『レジスタンス運動』は、長期的には動脈硬化予防につながると考えられています」

 と言う。筋肉量があれば基礎代謝が増え、脂質改善の促進が期待される。

「自宅で低い台を使った昇降運動や、軽くかがむ運動、またチューブを使ったり椅子に座ったまま足を伸ばして姿勢をキープするといったものでも構いません」(同)

 先の平野教授もこう説く。

「代謝をよくするには、できるだけ大きな筋肉、例えば大腿四頭筋を使うスクワットや、背筋を使う片足バランス立ちなどがよいでしょう。中でもおすすめは『寝たまま体操』。軽い腹筋運動なので大きな負荷はかかりません。まずは起床時に10回から始めれば、案外長続きします」

 これでプラークなど恐るるに足らずである。

週刊新潮 2017年11月2日号掲載

特集「『司馬遼太郎』も襲われた『隠れ動脈硬化』 まだ間に合う『不可逆的病状』のリセット術」より

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