たまる内臓脂肪、「肉」「アルコール」との正しい付き合い方 隠れ動脈硬化のリセット術

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隠れ動脈硬化“不可逆的病状”のリセット術(下)

 脳梗塞や心筋梗塞、大動脈瘤といった動脈硬化由来の疾患は、血液中の悪玉コレステロール(LDL)と関係している。コレステロールや中性脂肪などの余分な脂質が血管の壁に塊(プラーク)を形成するためだが、昭和大学医学部の平野勉教授は、メタボリック症候群との関係に言及する。不必要な内臓脂肪が腸間膜や腹膜の近くに蓄積され、血液に溶け出し全身に悪影響を及ぼすというのだ。

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 では、不必要な内臓脂肪の貯蔵を防ぐにはどうすればよいか。りんくう総合医療センターの山下静也院長は、

「日本動脈硬化学会では『ジャパン・ダイエット』という伝統的な和食を勧めています。肉を減らして魚や野菜、大豆製品や海藻類などを幅広く摂る。京料理や精進料理のように多品目を少しずつ食べるのが重要です。食物繊維の摂取でコレステロール吸収が抑えられることは実証されています」

 むろん肉類ゼロでは立ち行かず、日本動脈硬化学会名誉会員で柏市立介護老人保健施設「はみんぐ」の多田紀夫施設長は、こう提唱する。

「動物性脂肪の摂取制限を『肉を食べてはダメ』と考える人がいますが、これが行き過ぎてたんぱく質が不足し、虚弱体質(フレイル)やサルコぺニア(加齢性筋肉減少症)を引き起こす高齢の方もいます。たんぱく質は必要不可欠であり、工夫して摂ればよい。例えば脂身を取り除いたり、霜降り肉は控えて赤身の多いランプ肉にする。最近はアンガスビーフや短角牛の熟成肉など、脂質が少なく美味しい肉も流行っています」

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