ヒップアップは「仙腸関節」から! 骨格矯正の第一人者が教える「立ち方」エクササイズ
内転筋を鍛えて体幹維持
ところで、一般に行われているヒップアップのためのエクササイズは、おしりに筋肉をつけるための運動です。しかし、坐骨が開いた状態で筋肉をつけようとしても、正しい位置につかないのでヒップアップにはつながりません。
本当は「仙腸関節」のゆがみを矯正し、骨を正しい位置に戻してから筋トレを行う必要があります。しかし、そのことは、指導者でも知らない人が多いというのが実情です。
さて、ここから、ゆがんだ「仙腸関節」を矯正するエクササイズについて述べていきます。エクササイズは生活に簡単に取り入れられることが肝要で、たとえ効果が高くても、苦痛を伴うもの、継続が困難なものは、考案者の自己満足でしかないと思います。
そこで日々の生活のなかで「立つ」、「座る」、「歩く」、「寝る」という基本動作を改める、ちょっとした工夫をお伝えします。これらを自分のペースで、緩く続けるだけでも、若返りは十分に可能です。
まず、「立つ」という動作のなかでできるメソッドからお伝えします。電車に乗る機会がある人が多いと思いますが、その時間を有効に活用するのです。
電車のなかで吊革にもつかまらずに立っている人がいます。その場合、肩幅と同じくらい足を開き、足には力を入れている場合が多い。すると骨盤は開いた状態になっています。
この姿勢だと、下半身の外側の「外転筋」という筋肉が鍛えられるかわりに、内側の「内転筋」は鍛えられません。実は、多くの人が鍛える必要があるのは、体幹の維持に役立つ「内転筋」です。一方、「外転筋」が鍛えられると、逆に、身体が外にゆがめられてしまいます。間違った立ち方をするくらいなら、座っていたほうがいいのです。
では「内転筋」はどのように鍛えるのか。まず、つま先をⅤ字に開き、ひざやもも、ふくらはぎ、さらにはくるぶしまでが触れ合うくらい、ぴったりとつけます。そして、おしりの穴を締めるような気持ちで下半身にギュッと力を込め、ひざの内側がくっつくように引き締めます。この状態で力を入れたり緩めたりしてみてください。できたら踵(かかと)は浮かせましょう。
電車内でこうして立とうとすると、バランスを取りにくくなるので、必ず吊革などにつかまってください。この姿勢を自分が疲れない程度に続けると、おしりの力で骨盤がギュッと上がります。アキレス腱も鍛えられます。
女性の場合は、ハイヒールを履くだけで骨盤が後傾してしまいますが、踵を上げていれば大丈夫です。それでも3センチを超えるヒールは避けるのが賢明です。アメリカでは、キャリアウーマンはスニーカーで通勤し、社内でヒールに履き替え、帰宅したら足裏をほぐす、というフットケアが常識。日本ではヒール文化だけが輸入され、ケアは放置されているので、骨盤がゆがんでしまいやすいのです。
「座る・歩く・寝る」は(2)へつづく
***
[3/3ページ]