嫌老社会で「被差別高齢者」にならないためのサバイバル術 和田秀樹が説く

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働き続けないと長生きできない

 アメリカでは1968年、雇用における年齢差別禁止法が施行された。カナダでも70年代末までに導入され、EU加盟国もそれに続いた。その結果、欧米では若くても能力がなければ組織を追われてしまうが、求人の際に年齢で制限したり、年齢で活動を制限したりすることは認められていない。一方、日本ではそうした意識が非常に希薄なのだ。

 このため日本では、高齢者が増えていると事あるごとに報じられ、それと同時に、「年をとりたくない」「高齢者にはお金がかかる」「老人はやっかい者だ」というイメージがどんどん膨らんでいる。老いへの嫌悪感や拒絶感が強くなり、高齢者の間でも、強いお年寄りが弱いお年寄りを見て、「明日はわが身」と思わず、「ああはなりたくない」と目を背けようとしたりするのだ。

 私たちは「老い」を忌避することなく、だれにでも訪れるものとして受け止めなければならない。そう強く感じている。

 とはいえ、高齢者が不当に扱われる「嫌老社会」がいまの日本の現実であるからには、「被差別高齢者」にならないための道を見つける必要がある。そこでここから、いわば「嫌老社会におけるサバイバル術」を述べていきたい。

 いまの日本は、まだ十分に働ける高齢者を職場から追い出そうとする風潮が強い。しかし、人間は働き続けないと長生きできないと、私は思っている。

 厚生労働省が調べた「都道府県別にみた平均寿命」は、最新のデータ(2010年)で男女ともに長野県がトップだ。理由の一つは高齢者の就労率の高さだろう。実際、70歳以上の就労率全国1位も長野県。まずは長野県に見習うことだ。

 これに対し、沖縄県は長寿のイメージと裏腹に、平均寿命は女性こそ3位だが男性は30位と、全国平均以下。同じ気候風土の下、同じようなものを食べているのに、男女の平均寿命に大きな差がある。実は、沖縄県は長野県と反対で高齢者の就労率が低い。それでも女性は、家事などの労働を担うことも多いが、男性の場合、就労率の低さが平均寿命に影響している可能性があると思う。

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