「隠れ動脈硬化」最新撃退法 プラークの見つけ方、ハーバード大開発の“血管の炎症抑制”治療

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皮下脂肪でなく内臓脂肪

 昭和大学医学部の平野勉教授は、メタボリック症候群との関係に言及する。

「食べ過ぎや運動不足などで余った中性脂肪は腸間膜や腹膜の近くにたまり、内臓脂肪と呼ばれます。量が多くなると血液に溶け出して全身に悪影響を及ぼすので、結果として心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化が進んでしまう。CTで腹部を輪切りにすると内臓脂肪の量が計測でき、これが100平方センチに達するとメタボとみなされます」

 とはいえ肥満も色々で、

「主にお腹に脂肪がたまる『リンゴ型』と尻などにたまる『洋ナシ型』があり、動脈硬化は、元々皮下脂肪の多い部分にたまる洋ナシ型より、見た目は太ってなくてもお腹がぷっくり膨らんだリンゴ型の方が進行が速い。つまりは皮下脂肪でなく内臓脂肪が問題なのです」(同)

 こうした点を踏まえ、りんくう総合医療センターの山下静也院長に聞くと、

「摂取した中性脂肪は血液中で分解され、脂肪酸となって細胞に取り込まれますが、このプロセスに時間がかかる人は血中の中性脂肪の数値が高くなります。正常な人でも食後数時間で数値は増えますが、せいぜい150mg/dl程度までで、200mg/dlを超えると『食後高脂血症』にあたります。実際には300〜400まで上がる人も多く、正常ならば食後8時間以内に空腹時の数値に戻るはずが、そうならないのです」

 いきおい狭心症や心筋梗塞のリスクが高まるというのだ。さらには「食後高血糖」にも用心である。

「最近の研究では、同量の糖質を摂取しても、食後の血糖値の上昇の緩急によって、動脈硬化のリスクが異なることが分かっています」

 とは、日本動脈硬化学会名誉会員で柏市立介護老人保健施設「はみんぐ」の多田紀夫施設長である。

「例えば食パンやマッシュポテトは急上昇を促すので要注意ですが、玄米や酢飯、ライ麦パン、スパゲティは緩やかです。ただし後者は満腹中枢を刺激するスピードも遅いため、食べ過ぎには気をつけましょう」

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(下)へつづく

週刊新潮 2017年11月2日号掲載

特集「『司馬遼太郎』も襲われた『隠れ動脈硬化』 まだ間に合う『不可逆的病状』のリセット術」より

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