「隠れ動脈硬化」最新撃退法 プラークの見つけ方、ハーバード大開発の“血管の炎症抑制”治療

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不可逆的ではない

 その手立ては(下)で後述するとして、かりに異常の発見が遅れた場合は、投薬のほか外科的療法もある。齋藤康・千葉大名誉教授が言う。

「血管壁が盛り上がって通路が狭まっている箇所に『バルーン』を通し、コブを潰して内腔を広げる療法があり、内視鏡を使う場合もあります。あるいは心臓の冠動脈に他の部位の血管を使って繋げるといった血管造設手術も行なわれています」

 一方、千葉大大学院の横手幸太郎教授によれば、全く別の“アプローチ”が開発されつつあるという。

「ハーバード大の研究チームが8月、『血管の炎症』を抑えて動脈硬化が減らせるという研究結果を発表しました。特定の細胞を刺激して炎症を起こすたんぱく質『サイトカイン』の一種で、発熱やリウマチを引き起こす『IL‐1β』(アイエルワンベータ)という物質に対して中和抗体を注射したところ、動脈硬化や肺がんが減少する有意のデータが得られたというのです」

 炎症の詳しい仕組みは分かっていないものの、

「現在使われているIL‐1βの阻害薬は注射薬。動脈硬化を減らした新しいメカニズムが分かれば、内服薬など新薬の開発につながるかもしれません」(同)

 朗報は心強いが、まずは自力で何とかしたい。動脈硬化はLDL値を下げれば病変が改善される。すなわち、必ずしも不可逆的ではないのだ。

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