監視と縛りの日常生活“ブラック集落”を避けるには 移住民が落ちた「村八分」地獄

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なぜ新参者を受け入れない?

 集落による「新参者、よそ者を受け入れない」掟は、決して時間が解消するわけではない。北杜市に移住してすでに20年になろうかという80代の女性は、いまだに自治会に入会できず、集落内でゴミ出しができるメドさえ立っていない。

「主人が亡くなっているので、いつまでゴミを出せる体力が持つか自信がないわよ」

 と漏らす。もちろん、敬老行事の案内などもまわってこない。

 そこまで徹底して新参者の加入を認めない理由について、北杜市の移住担当者は次のように指摘する。

「やはり、一番大きい理由は財産区のようです」

 山間部の地元集落はたいてい、共有財産として山林を所有している。この山林の伐採益や売却益を含め、現金化されたときの分配が少なくなることへの懸念が、最大の理由だというのだ。

 もちろん、移住者のなかには、あえて自治会に加入したがらない者もいる。

 彼らの言い分はこうだ。

「前は自治会費を払ったこともあった。ただ、収支を見せてと言ったら嫌がったり、何に使われているのかまったく不透明。聞けば、会議と称した甲府あたりでの呑み代とか、宴会や、慰安旅行のピンクコンパニオン代に消えててバカバカしくなった」

 収支不明朗が伝統の集落の意識と、移住者の権利感覚は馴染みようもなかろう。

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