誕生から50年「リカちゃん人形」秘史 日本人向け5頭身、“幻の姉”の存在も

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お父さんは行方不明

 発売は67年7月4日。本名・香山リカ、誕生日は5月3日で小学5年生の11歳。計算上、56年生まれというわけで、本来なら昨年還暦を迎え、赤いチャンチャンコのリカちゃんが発売されても良さそうなところだけど、リカちゃんはあくまでも“永遠の11歳”。

 少女マンガを参考にしたというつぶらな瞳(白い星はひとつ)にオレンジ色の唇、栗色の髪。ワンピース姿の600円からドレスをまとった1100円までの15種類が売り出された。中でもミニスカート姿は、ツイッギーの影響が大きかったのだろう。リカちゃんは、7頭身でグラマーなバービーとは違って、ずいぶん日本人寄りの体格となった。身長は21センチで5頭身のやせぎすで、「こんなガリガリの人形は売れない」と佐藤さんは問屋の方たちに面と向かっていわれたそうだ。

 名字の香山は、加山雄三さんや香山美子さんを参考にしたといわれているが、僕が聞いたところでは香山美子さんだという。スタッフにかなりのファンがいたとか。

 発売当初、そのパッケージに印刷されていたリカちゃんのプロフィールは、以下の通り。

・お父さん フランス人
・お母さん 日本人
・リカちゃん とてもやさしい
・好きなこと 絵がじょうず
・べんきょう あまりできない
・悩み フランスにわたった父がわからない

 リカちゃんはハーフという設定だが、この時点では母子家庭。しかもフランス人のお父さんは行方不明という、おもちゃにしては衝撃的な家庭環境だ。

 67年の日本と言えば、高度経済成長の真っ直中、モーレツ社員の時代であり、家庭にお父さんの姿がないのは当たり前。仕事一筋で、子供の起きている時間になど帰ってこないお父さんも多かったし、出稼ぎに出ていたお父さんもいただろう。必然、お嬢ちゃんたちのママゴトにもお父さんの出る幕などはなかった。

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