宇宙飛行士「金井宣茂」の陰で… 利益不明の月面探査に1000億円

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 12人目の日本人飛行士が、宇宙へと旅立った。

 金井宣茂氏(41)である。17日夕方、金井氏らが乗った宇宙船ソユーズが、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、これから約半年間、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する。

 科学部記者が言う。

「金井さんは防衛医科大出身の医師で、ISS滞在中は日本の実験棟『きぼう』の中で、無重力が心身に及ぼす影響などをメインに、実験を進める予定です」

 これに先立つ12日、政府は、宇宙開発の指針である、宇宙基本計画の工程表を発表した。

「工程表の中には、アメリカが中心となって進める月面探査計画に参加することが盛り込まれました。これによって、日本人飛行士が探査に参加する可能性が出てきたのです」(同)

 日本がこの計画に参加するのには、ワケがあった。

「実は金井さんが滞在するISSは、2024年に運用を終える予定になっているのです。その後の日本の宇宙開発の軸となるものを、模索していたのですが」(同)

 そんな折“月に再び人を送り込む”と、トランプ大統領がぶち上げた。

「渡りに舟と、それに同調する形で日本も参加ということになったのです」(同)

 もちろん、タダで、というわけにはいかない。

 科学ジャーナリストの緑慎也氏が解説する。

「これまで政府は、ISS計画に対しては、年間約400億円もの税金を投じてきました。技術力はついたものの、きぼうでの実験をきっかけに、画期的な新薬や材料が出来たわけではなく、成果はあがっていない」

 月面探査に参加するとなると、拠出額は年間1000億規模になる可能性も。

「探査自体が日本にどのような利益をもたらすのか、全くわからない。もし、単に日本人を月へ送る、という“夢”の実現の為だけに巨額を投じるのなら、宇宙ビジネスを進めるベンチャー企業に投資するなどして、民間レベルでの宇宙開発をもっと応援したほうがよいのでは」(同)

 夢より、果実――。

週刊新潮 2017年12月28日号掲載

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