女優として生きるため“14歳で15キロ増量”――富田望生は「脇役の星」
「タレント募集」の広告を見て応募
それでも慣れない東京暮らしが始まる。周囲の人々は誰もが優しい。しかし違和感を覚えてしまう。小6の3学期だけいわき市に戻してもらい、故郷で卒業式を迎えた。嬉しかった。だが、中学校は再び都内に。家にピアノはない。自分に合う音楽教室も見つからない。「ふわふわとした生活」で、地に足が着かない。そんな中、母親の携帯でネットを閲覧していると、「タレント募集」の広告が目に飛び込んできた。突然、閃いた。
「勝手に応募しました。家に『実技のオーディションに来てください』という書類が送られてきて、母が『これはどういうこと?』と訊いて、『やりたいと思ったから出した』と答えたんです。ピアノの先生が夢だと言っていましたけど、タレントになりたいとは口にしたこともなかった。それでも母は『じゃあ、オーディションを頑張って』と応援してくれたんです」
本気でタレントになりたいわけではなかった。テレビでも映画でも何でもいい、自分の姿が何かに映って、それをいわき市の友達に見てほしかった。
オーディションに合格して事務所に所属することになったが、最初は習い事と大差なかった。週に1度、2時間半のレッスンを受けて終わり。それでも「地に足が着いた」感覚があり、精神的には楽になった。
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