「屈辱」「勝利」 韓国世論が割れた文在寅の中国訪問

国際 韓国・北朝鮮

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 同じ事象を見ているはずなのに、右派は「屈辱的外交」と断罪。左派は「外交的勝利」と持ち上げる――。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が、12月13日から3泊4日の日程で“国賓”として訪中したが、その成果を巡って韓国内では世論が真っ二つ。

「今年は韓中国交正常化25周年。そして韓中の懸案だったTHAAD問題も10月末にいわゆる三不(サムブル)合意に至った。また、来年の平昌五輪に習近平国家主席を招待したい。あれやこれやで、年内訪中は文政権が熱望しました」(在ソウル記者)

 ところが、中国側の対応がまことに素気ない。

「出迎えが外務次官ですらなく次官補だった」「4泊5日が1泊減らされた」「晩餐会が習国家主席による公式の1回しかなかった」

 保守系紙はこうした冷遇をこれでもかと書き立て、文外交の大失敗だと批判する。さらに随行取材の韓国人記者2人が、中国人警備員にけがを負わされた事件が火に油を注いだ。

「上下関係やメンツに関する話題が韓国人は好きですからね。でも、中国が韓国を軽んじたのも確か。中国の大国意識が遺憾なく発揮されたのです」(同)

 THAAD問題などでもまだまだ韓中間にはギャップがある。冷遇は素直に従わぬ小国への罰か……。

「ところが左派系紙は、習氏にTHAADという言葉を使わせなかった。封印に成功したとベタボメです」

 と冷ややかに見るのは評論家の室谷克実氏だ。

「むしろ習氏は演説で『周知の理由で』とTHAAD問題をあからさまに示唆していたのに……。一方、文氏は南京事件について『深い同質感』と媚中発言。やはり朝貢外交でしたね」

 文大統領、今度は来日を熱望だとか。どんな外交音痴を見せてくれるのだろう。

週刊新潮 2017年12月28日号掲載

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