「こんなボランティアはイヤだ!」 本音度100%!で障害者芸人が語った
善意は素晴らしいのだけれど
世の中には悪く言うのがはばかられる存在というものがある。ボランティアはその代表格だろう。
何と言っても無償で他人のために貴重な時間を、労力を割いているのだ。批判されるいわれはない。
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しかし、実際の現場ではちょっと勝手が違うこともあるようだ。
身体障害者芸人として20年以上活動しているホーキング青山さんの新著『考える障害者』には、「ボランティアが障害者を弱くする」という刺激的な考察が書かれている。
あまり「言ってはいけない」ことになっているのだが、身体障害者相手の場合、それなりの専門性が求められるし、相手の生命を預かるという面もあるので、スキルの高くないボランティアだと、実は必ずしも役に立たないこともあるのだという。
ホーキングさんは、こう語る。
「もちろん、ボランティアの方たちの善意を疑うものではないですし、実際に助かったという声を聞くことも多い。ただ、そうした善意だけでは支えきれないのが障害者だということも言えるんです。
私は自分で訪問介護事業所を経営しているので、余計に『ボランティアもいいけど、意欲があるならぜひ資格を取って介護の仕事に携わる人が増えて欲しい』と思ってしまいます」
全身撫で回しおばさん
それでも「善意」があるのならまだいい。が、その大前提すら怪しい人も中にはいるのだという。『考える障害者』には、困ったボランティアに関するエピソードが紹介されている(以下、引用は同書より)
ホーキングさんが小学生の頃。学校からの案内で地元の福祉イベントに家族と行った時の話である。
ホーキングさんには家族が同行していたので、特に世話役は必要ないのだが、なぜかボランティアのおばさんがつくことになった。問題はこのおばさんがやたらとホーキングさんをかわいがることだった。
「車イスに乗っていてかえってその方が楽なのに、『だっこしてあげる!』とやたら言ってくる。
私は幼心にも、見ず知らずの人がそばにいるのが嫌だったし、それに小学生にもなって、だっこなんかされたくないよと思い、『いいです。大丈夫です』と断っていたのだけれど、あんまりしつこくて断り切れなくなり、なかば『もう勝手にしろ』という思いで承諾したが最後、おばさんは私をだっこし、ひたすら頬ずりしたり、頭はもとより全身を撫でまくる。
今考えれば、ヘンな気でもあるんじゃないか? と思いたくなるような行為である」
ホーキングさんは、しばらく我慢していたものの、おばさんは何分経っても行為をやめようとしない。さすがに音を上げて家族に助けを求めることとなった。
「そばに来た母は、
『アンタをあんなに愛してくれるんだから、そのまま貰われて行っちゃえば良かったのに』と言いながら笑っていた。
家族も気づくぐらい怪しい行為だったのである」
最悪のボランティア
かなり迷惑なおばさんではあるが、これくらいならば善意の有無に関してはまだグレー判定というところかもしれない。ホーキングさんは、もっと完全な「クロ」のエピソードも紹介している。これも小学生の頃、遠足に出かけることになったが先生の手が足りないためにボランティアに来てもらった。そのうちの一人である若い男性ボランティアがホーキングさんのそばに寄ってきて、何とこんな耳打ちをしてきたのだ。
「オレ、今日あの一緒にボランティアで来た女の子と会いたくて来ただけだから、オレにはとりあえず何も頼まないで」
さすがに子供心にも酷いことを言われていると思ったという。ホーキングさんは、こう語る。
「さすがにあの男性ボランティアは特殊なケースでしょうが、身体介護においては、ある程度の技術や専門性が必要なので、善意だけではうまくいかないのも事実なのです。もしもあの時、あの男性に『トイレに行きたいんですが』と言ったらどうなっていたんでしょうね」
大多数の純粋な志を持つ人のためにも、不純なボランティアには退場願いたいものである。