「やめられない、とまらない!」生みの親がカルビーを訴えた!
もはや誰にも止められないほど、お怒りだ。“やめられない、とまらない!”と言えば、誰もが知る「かっぱえびせん」のCM。そのお馴染みのキャッチコピーを“考案したのは私だ”と、製造元・カルビーを相手に訴えを起こした人物がいた。
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かっぱえびせんの発売は、1964年。その年の6月にはテレビCMを打つため、広告代理店「大広」に制作依頼が舞い込んだ。
当時、大広本社に勤務し、CM制作を担当した日高欽治氏(80)が振り返る。
「えびせんをつまみながら、企画を考えていました。一袋目を食べ、もう一袋を開けようとした時、“思わず手が出る やめられない とまらない”といったフレーズが閃いたのです」
アイデアは採用され、当初、カルビーの本社があった広島と東京で放送。数年後、広告代理店が代わると、大広のCMを基にした拡大版が全国で放送され、大ヒット商品となった。
「長らくそのことは忘れていましたが、99年にある雑誌の記事で、コピーの発案者が不明だということを知りました。それで、同僚から名乗り出るよう勧められ、2010年になってカルビーに手紙を送ったのです」
すぐに返事が来て、かつての同僚とカルビーの東京本社を訪問。伊藤秀二社長に“誕生秘話”を披露した。
「社長は感激し、“今日の我が社があるのも皆さんのおかげです”と言ってくれました。そして、社内報に載せるため、その場で写真撮影までしてくれたのです」
誕生秘話を捏造
ところが、間もなく事態が一変。代理店変更後、CMを別の会社が著作権登録していたという理由で、社内報掲載が見送りとなる。
「掌を返したように、弁護士名で回答が来るようになりました。さらに社長と面会した4カ月後には、この件のやり取りが続いていたのに、テレビ番組で“誕生秘話”を放送。そこでは、社員たちがえびせんを食べていて思い付いたことになっていた。これは捏造です」
昨年には、新聞にも社内会議で誕生したという記事が掲載された。怒りが爆発し、今年7月、東京地裁に名誉を傷つけられたとして、1億5000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。
「自分に著作権があるとは思っていません。ただ、テレビ番組や新聞を見た人は、どう思うか。私が嘘をついていたと思うはず。それはクリエイターとして堪えがたい。請求金額は、裁判所に金額がないと裁判にならないと言われたので書いただけ。お金が欲しいわけではありません。私がコピーを考えたと認め、これまでの対応を謝罪して欲しい」
この先、裁判の行方はどうなるのか。著作権問題に詳しい金井重彦弁護士の話。
「職務上作ったものは、会社に帰属するのが一般的なため、著作権の主張は難しいでしょう。けれど、精神的慰謝料については別です。事実と異なる話を公表され、名誉を傷つけられたというのは十分、有り得る。ただし、名誉毀損に対する損害賠償金は、一般人では数十万円が相場です。1億5000万円は厳しいでしょう」
さて、カルビー広報部に話を聞くと、
「日高様の面会のご要望に可能な限り真摯に対応させて頂いておりました。それだけに、今回提訴されたことは誠に残念でなりません」
それでも、紛争は、“やめられない、とまらない!”