長寿世界一「香港」を支える“大きな薬”と“生き甲斐探し” 現地レポ
長寿エリアを訪ねてみると…
18の行政区に分かれている香港。住民の平均所得が最も高いという「湾仔区」の林大偉(ラムワイマン)区議に聞くと、
「湾仔は香港で最も高齢者の比率が高く、長寿エリアといえます。香港は全ての区に公立のデイケアセンターがあり、お年寄りが外出して人と触れ合えるような工夫がなされているのです」
そうした催しの1つである「盆菜宴2017」と題されたイベントに行ってみた。湾仔地区のセンターに通う高齢者とその家族を集め、屋外で一緒に夕食を楽しむという趣向で、参加者は総勢2000人。会場のサッカーコートには10人掛けの円卓が200ほど並べられ、20時を過ぎると満席に。開始の合図とともに、鍋を置いたカセットコンロが点火され、具材はエビや貝、つみれなど魚介類がぎっしり。ともに85歳の王(ワン)夫妻に尋ねると、
「家ではスープを飲みます。大根と人参、豚肉を入れて3時間じっくり煮込む『老火湯(ロウフォートン)』は、体が温まるので週に2~3回作ります」(妻)
先の楊氏によれば、
「老火湯は、香港の家庭で時間をかけて作られる本格的なスープ。時間を短縮した簡単なスープやレトルト物とは区別されます。消化がよく栄養に富んだものを摂って体の内から温めて潤す。それが健康長寿の源なのです」
いきおい免疫力も増強し、風邪の季節も乗り切れるわけである。
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