年間収入数十億円の「富岡八幡宮」ファミリー 殺人に発展した姉弟の確執
不動産収入も…
殺人に発展するまでこじれてしまった姉と弟の関係。そこには、富岡八幡宮が単なる「下町の八幡様」ではなかったという事情もある。
比較的歴史の浅い神社が多い東京にあって、富岡八幡宮は400年近い歴史を持つ老舗だ。また、全国8万社と言われる神社のなかでも、とりわけ裕福なことで知られていた。
隣に深川不動堂(成田山東京別院)があることから、両方の参拝客で賑わい、初詣ともなれば、毎年30万人の参拝客が訪れる関東有数の初詣スポットだ。年末年始には、お賽銭だけで10億円近いキャッシュが入って来るといわれている。
その集金力は近隣の寺院もうらやむほどで、
「商売繁盛をご利益にしていることもあって、お正月になると、八幡様の賽銭箱が一杯になって、手を伸ばせば届くほどお札が溢れるんです。見ていると、一杯になった賽銭箱を取り換えてもすぐまた一杯になる。本当にうらやましいぐらいでした」
約1万3000平方メートルの敷地内には17の末社があり、家内安全や身体健康など他にも様々な「ご利益」がある。七五三、結婚式の利用者も多く、これを合わせれば年間数十億円の収入があるとされている。
また、周辺の商業地も富岡八幡宮の所有であることから、不動産収入も馬鹿にならない額が転がり込んでくるのだ。
「ここいら周辺は富岡八幡宮の所有地ばかりなんです。うちも借地権という形で5000万円(期間20年)を払っており、その他に毎月5万円の地代を払っています。八幡様の周りにはマンションが立ち並んでいますが、地面は八幡様のものというところが多いんですよ」(富岡八幡宮の近隣住民)
それもあってか、富岡八幡宮は神社本庁が人事を直轄する「別表神社(註・全国に約350社ある有力神社)」という高い社格だった。いきおい、宮司一家も地元では一目置かれ、裕福なファミリーとして知られていた。
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