大谷翔平にNY中がブーイング “金より二刀流”理解されず

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 かつて、自由の国を目指す移民の大半が、まず初めの一歩を記したのは、アメリカ大陸の玄関口・ニューヨーク(NY)のエリス島だった。新天地に集う人々を寛容に受け入れる。そんな伝統を受け継ぐこの街が、ブーイングに包まれているという。その矛先は、二刀流を貫く日本の若きサムライに向かっていて……。

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〈なんたる臆病者! 日本のスターはヤンキースを鼻であしらい、大きな街を恐れている〉〈ノータニ〉――NYの地元紙を広げれば、目を覆いたくなるような“恨み節”が溢れている。

 12月8日(日本時間9日)、メジャー挑戦を目指していた日本ハムの大谷翔平(23)は、移籍先にロサンゼルス近郊のアナハイム市に本拠を置くエンゼルスを選んだ。ほぼ全球団のオファーを受けていた彼は、7球団に絞った段階で田中将大投手も所属するニューヨーク・ヤンキースを“蹴った”として酷評されたのである。

 加えて、地元メディアが疑問を呈したのは、大谷の“若さ”だった。

「メジャーでは、25歳未満の契約金上限が約5億5000万円と決められています。あと2年待てば総額100億円規模の金が手に入るのにと、訝しむ記事もありましたね」(運動部記者)

 契約が決まる以前は、大谷のことを「和製ベーブ・ルース」とまで評し、盛んに持ち上げていたのだが。

ボロクソに書かれる

 ロス在住のスポーツジャーナリストが言う。

「二刀流だったベーブ・ルースの登板機会が減っていったのは、23歳から。ヤンキースに移籍してからはバッターに専念しているんです。奇しくも23歳でルースを“神様”と公言する大谷は、体力のある若いうちしか二刀流はできないと意識しているのでしょう。それでも、NYで試合になったら彼に対するブーイングや罵声は凄いと思います。全米で一番人気のチームを袖にしたわけだから」

 強欲なアメリカ資本主義を体現するニューヨーカーたちにとって、「金より二刀流」という選択は理解できないのだろう。

「もともと、NYやレッドソックスの本拠地・ボストンといった大都市の地元紙は辛辣です。今季は、あのマー君も調子が悪い時はボロクソに書かれていましたよ」

 とは、メジャー取材歴39年の報知新聞ベースボール・アナリスト、蛭間豊章氏だ。

「通算27回も世界一に輝いたヤンキースは、勝ってあたり前のチームです。1年目で結果が求められますからね。球団の成績次第では、投手に専念するよう迫られ、二刀流の実現が困難になる可能性もあったでしょう」

 他方、エンゼルスは3年連続で地区優勝から遠ざかり、プレーオフ進出を逃したと先の記者が話を継ぐ。

「二ケタ勝利をあげる先発投手が2人しかおらず、現役通算614本塁打を誇るスター選手のプホルスも37歳と衰えが目立ちます」

 チームの成長と共に大谷の存在は不可欠というのだ。謂われなき戯れ言を二刀流でブッタ斬れ!

週刊新潮 2017年12月21日号掲載

ワイド特集「人生は選択の連続」より

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