「パチスロ大手」vs.「カジノ大手」泥沼裁判の行方 ユニバーサル元会長が明かす
黒塗りの資料
――長年の目標だったカジノ・リゾートへの進出を果たした岡田氏だが、12年2月、ウィン・リゾーツは岡田氏を解任して、持ち株を強制償還。そして、この措置が法的に有効であるという裁判を起こす。対して岡田氏とユニバーサル社は反訴。以来、両者の裁判闘争は延々と続けられているのだ。裁判費用は30億円近くにものぼった。
アメリカの裁判は、ディスカバリー(証拠開示)、デポジション(証人尋問)、トライアル(審理)と進む。岡田氏が5年越しで戦ってきた裁判も、ようやくトライアルの入り口まで来ている。
「以前は私が陣頭指揮をとってウィンとの裁判を進めていましたが、会長を解任されてからは個人で弁護士をつけて戦っています。その裁判の中でウィンがマカオのライセンスを取得するのに、何をしていたのか証拠の開示請求(ディスカバリー)を行った。マカオの大学の基金についてもです(※(上)参照)。
ところが、向こうは、請求を無視して資料を黒塗りで出してきたのです。マカオで何をやっていたのか、きちんと説明できていないんです。もし、マカオの高官にお金を渡していようものなら、逆にウィン側が贈賄で立件されてしまいますよ」
――ウィン・リゾーツとの裁判は、来春にもトライアルが始まり、先行きが見えると見られている。証拠資料を黒塗りで提出するなど、ウィン側の非協力的な姿勢に対して、アメリカの裁判所は岡田氏に有利な判断を下す可能性があるという。
「私は和解するつもりはありません。ウィンから賠償金を取りたいんです。もし、ウィンとのトラブルがなければ今頃、出資した持ち株は5000億円ぐらいになっていた。また、今頃は、ユニバーサル社が筆頭株主としてウィン・リゾーツを経営していてもおかしくない。悔しいと思うのは、ウィンに出資して裏切られるくらいなら、自力でカジノをやりたかったということです」
「あと3つは作りたい」
――だが、会社を追われた岡田氏の「不遇」は続く。11月30日、ユニバーサル社は、約20億円の不正な貸し付けがあったなどとして、岡田氏に対して損害賠償訴訟の提起を発表した。
「ユニバーサル社の経営陣は、でたらめに事件を作り、でたらめな特別調査委員会を設置し、でたらめな報告書を作成したんです。その上で今度は、損害賠償請求とは呆れてしまいます。
私はね、眼の黒いうちにあと3つはカジノを作りたいと考えている。(クーデターもウィンとの訴訟も)成長できるはずだった時間を無駄にしたのが痛い。カジノも激しい国際競争になって来ている。悠長に構えてはいられないんですよ。こうなったら刑事、民事を問わず、戦ってゆくつもりです」
[2/2ページ]