「長嶋茂雄」英語変換トークの衝撃 「せんだみつお」が語る昭和のスター列伝
「イン・マイ・ポケット~」
――反応からすると明らかに……という話は終わりにしまして、まずは長嶋さんとの出逢いを教えてください。お二人はもう、そうとう長いお付き合いなんですよね。
せんだ そうそう、この前、監督に「僕たちのお付き合いは、もう27年ぐらいになりますね」って言われたんだけど、てことは、今は昭和91年(※この取材は2016年の年末に行いました)だから……
――出ました! せんだみつおの“昭和換算”。
せんだ そこから27を引くと、昭和64年(1989年/平成元年)だね。長嶋さんが2度目の巨人軍監督に就任する数年前だ。
――つまり、いわゆる“浪人時代”ということですね。
せんだ この年、ファイティング原田さんが日本プロボクシング協会(当時は全日本ボクシング協会)の会長に就任されたんだけど、その就任パーティーの会場でだったのよ、初めて長嶋さんにお会いしたのは。そこで、たまたま、ニッポン放送の名アナウンサーだった深澤弘さんを見つけたんで、「深澤さ~ん!」て駆け寄ったら、その深澤さんの後ろにいたのが長嶋さんだった。もうね、長嶋さんといえば、誰にとってもそうだろうけど、特に僕ら団塊世代にとってはまさに“英雄”でしょ。うわ~こんな間近で! なんて興奮してたら、深澤さんが紹介してくれてね。「どうも~、初めまして」「せんだみつおと申します!」「知ってますよ~、テレビで見てますよ~」って言ってもらったこと、今でもよく覚えているなあ。
でね、すごいのがその後。「ゴルフはやりますか~?」って聞かれたから「はい、やります!」って答えたら、「それじゃあ今度、一緒にやりましょう。電話番号は何番ですか~?」って。
――いきなり電話番号を!
せんだ それもすごいんだけど、ここからがもっとすごいんだよお。当時は携帯電話がまだない時代だったから、慌てて誰かに紙を借りて、そこに自宅の電話番号を書いて長嶋さんに渡したの。そしたら長嶋さん、その紙を背広のポケットに入れて、なんて言ったと思う?「イン・マイ・ポケット~」だよ!
――かの有名な長嶋さんの英語変換トークを、出逢いの当日に直に聞かれたわけですね!
せんだ こういう長嶋さんのオモシロ発言を、僕もかなり“体感”させていただいているけど、誰よりもその洗礼を浴びてるのは、やっぱり徳光和夫さんだろうね。これはその徳光さんに聞いた話なんだけど、徳さんが司会を務める、とあるパーティーに出席していた長嶋さんが、風邪気味で熱が上がって中座したことがあったんだって。で、翌日、体調を気遣って徳さんが電話をしたら「あ~徳さん、昨日はごめんね。熱が高くてね~。ちょうど3割8度2分だったから」!……しかもどこが「ちょうど」なんだ? という(笑)。徳さんも僕に言ってたよ。「ウケ狙いなのかどうなのか、よくわかんないんだよね~」って。
(取材・文=塚田泉)
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後編へつづく
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