「ながらスマホ自転車」で老女を死なせた女子大生「裁判と就活」どうなる?

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運転免許停止処分が下ったケースも

 また悪質な自転車事故を起こした場合、加害者が所有している自動車の運転免許に対して処分が下る判例も出てきている。

 産経新聞の報道によると、奈良市の無職男性(当時61)は12年5月、自転車を運転中にバイクと接触。バイクの男性が骨折の重傷を負ったにもかかわらず、その場から逃走。男性は後に出頭したが、重過失傷害と、ひき逃げの道交法違反の疑いで書類送検され、運転免許停止150日の処分が下された。

 11年には大阪市で自転車が車道に飛び出し、ワゴン車が車線変更を余儀なくされ、そのあおりでタンクローリーが急ハンドルを切って歩道に突入。男性2人がはねられて死亡した。自転車を運転していた男性は、大阪府警に重過失致死容疑で逮捕。裁判で禁錮2年の実刑判決が下り、さらに中型車と二輪車の運転免許停止処分(180日)が下されたという。

「加害者が取得している運転免許証に停止などの処分を下すだけでなく、加害者が運転免許を取得しようとするのを防ぐ制度を検討してもいいかもしれません。仮に事故を起こした女子大生が運転免許を持っていないとして、もし取得を目指したとき、それを止める手立てがないからです。重大な自転車事故を引き起こした人物に自動車運転免許を交付するか否か、国民的な議論をする時期にきているといっても過言ではないと思います」(同・加茂弁護士)

 他にも女子大生には、様々な“社会的制裁”が課せられる。

「女子大生は就活を行うかもしれません。履歴書に賞罰を書く欄が設けられていることもあります。刑事事件で有罪判決が下れば、書く必要があります。しかしそれを書けば内定は得られにくくなるでしょう。書かなかったとしても罰則規定はありませんが、書かずに内定を得たり入社したりした場合、何らかの理由で発覚すると、学歴等の詐称類似の行為とみられる可能性が出てきます。内定が取り消されたり、解雇されたりしても不思議ではありません」

 改めて女子大生が、どれほど取り返しのつかないことをしたのか、我々にも痛いほど伝わってくる――。

週刊新潮WEB取材班

2017年12月18日掲載

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