急逝・野村沙知代さん、本誌に明かしていた克也氏「楽天解任劇」への怒り

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「やりきれんわなぁ」

「楽天がCS出場を決めた3日の西武戦を球場で観戦していたんですが、こんなことがありました。米田氏が寄ってきて、『3位じゃダメなんですよ。監督に2位になってほしいと伝えてください』と、私に言ってきたんです。3位では、楽天の本拠地でCSを戦えないからということだったんですが、帰って主人にそのまま伝えると、『お前なー、3位になるのだって大変だったんだぞ』と憤慨していました。結局、2位を決めた今になっても、米田氏や島田氏から『おめでとう』の一言もありません。

“馬には乗ってみろ、人には添うてみろ”と言いますが、主人は『やぁやぁ、元気か?』なんて気軽に声を掛けられない、人に添うことができない、社会性に富んでいない人間なんです。三木谷さんら楽天の幹部は、皆、40代で、主人とは30も歳が離れている“現代人”。主人は背中を撫でたり、さすったり、オべンチャラは言えない人。とどのつまり、フロントの人たちは、とっつきにくい主人を可愛げのないオヤジと思っていた、まあ、基本的には嫌いだったんでしょうね。

 こうした楽天の冷たさとは対照的な話があります。主人が顔を紅潮させて喜んでいたので『何があったの?』と訊いたら、『孫さん(正義・福岡ソフトバンクホークスオーナー)から、“2位、おめでとう”というメッセージが届いたんや。琴線に触れた』と言うんです。孫さんとは、全く面識もないのにですよ。『あなたの楽天に負けたせいで、ソフトバンクは3位になっちゃったのにね』と私が言うと、『ああいう人格者は、“それはそれ、これはこれ”と弁えていて、一緒くたにする人ではない』と、本当に感激していました。『それに比べて、我が球団幹部は、祝福の言葉が一言もない』と嘆いていた。

 12日、すなわち解任通告の翌日、やはりホテルで主人とテレビを観ていたら、『ONの時代』という王さんと長嶋さんのドキュメンタリー番組が流れていました。画面を眺めながら主人は、『王はいいよな、孫さんがいる。長嶋には読売がある。こいつら、幸せだよな。でも、オレには何もない……。病気をしても王には球団会長、長嶋には終身名誉監督の肩書きがあるけど、健康なワシには何も残らん。やりきれんわなぁ』とも漏らしていました。『でもあなたには、神様が健康を授けてくれているじゃない』と、私は声を掛けました。」

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