「MRJ」納期は7年遅れでもミュージアムは“満員御礼”

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 国産初ジェット旅客機として鳴り物入りで開発が始まった「MRJ(三菱リージョナルジェット)」。当初の計画通りなら、今ごろわがMRJは世界の空を飛び回っているはずだった……。それが延期に次ぐ延期、結局、初号機の納入は7年遅れの2020年半ばまでずれ込むことに。その間、海外のライバル社は同等機種の低価格化を進め、市場を席巻しつつある。受注増を狙うはずのMRJには、逆にキャンセルの恐れも出てきた。

 そんな情けない状況とは裏腹に、今、MRJで熱く盛り上がっている場所がある。名古屋市北部に隣接する豊山町の県営名古屋空港、そのほど近くに設立された「MRJミュージアム」だ。

 11月30日オープンのこの展示施設、MRJの最終組立工場である三菱重工業の小牧南工場ビル内に設けられ、15人ずつの組に分れてアテンダントと共に見学するシステムとなっている。

 見どころは、やはり実物大のMRJ。実機と同じ操縦室や客席を備えた胴体、それにエンジンの模型、製造テストに使った主翼の試作品なども展示される。2階の見学スペースからは、実際のMRJ組立工程が一望できるのも目玉だ。

 入場料は大人1000円、小中学生500円。ウェブサイトからの完全予約制で、すでに3000名以上の申し込みがあり、2カ月先まで土日祝日はもちろん、平日も予約でいっぱいとか。

「幅広い年齢層の方が申し込まれていますが、小中学生ぐらいの親子連れが多いですかね。生で最先端技術を体感できる。飛行機好き、メカ好きには堪らないはずです。年間10万人以上の来場を見込んでいますよ」

 と、ミュージアムを運営する三菱重工の鼻息は荒い。

 また同じ30日、県営名古屋空港内には「あいち航空ミュージアム」も合せて新設。こちらは戦後初の国産旅客機「YS-11」や「零式戦闘機(零(ゼロ)戦)」などの日本航空史を彩った名機がずらりと並ぶ。飛行機マニアなら、確かに足を運びたくなるところ。

 しかし、それにしてもだ、何か“仏作って魂入れず”みたいな話のようにも……。やはり一番機を早く飛ばさなくっちゃ。

週刊新潮 2017年12月7日号掲載

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