北朝鮮「『火星15』発射成功」声明から読み解く「金正恩クーデター」の可能性
声明に潜む重大な“矛盾”
北朝鮮は11月29日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「火星15」を発射。政府声明は成功を喧伝し、朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は12月2日、「核戦力完成」を祝う大規模な大会が、前日1日に首都・平壌で開かれたと報じた。
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北朝鮮の国民は、多くが困窮に苦しみ、疲弊している。それでも必死で祝賀ムードを演出しているわけだ。しかし祝賀の根幹を成すはずの政府声明に、あろうことか“金正恩王朝”が崩壊する可能性を読み取れるという。北朝鮮ウォッチャーが声を潜めて明かす。
「声明に看過できない矛盾があるのです。地の文では『ICBM開発がゴールに近づいている』としているにもかかわらず、金正恩の発言では『ICBMが完成した』とある。政府声明は何重ものチェックを経て、最後は金正恩自身が採決して発表されます。どんな些末な誤記であっても完璧に修正されるのが常なのですが、この声明だけは異なりました」
まず、その矛盾を確認しておこう。
例えば読売新聞は11月29日の東京夕刊で「新型『火星15』成功と発表 北朝鮮 正恩氏『核武力完成』」の記事を掲載した。そして政府声明を次のように報じている。
《「米国本土全域を攻撃できる超大型重量級核弾頭の装着が可能」と説明。7月に2回発射したICBMの火星14と比較し「戦術的な仕様と技術的な特性がはるかに優れた兵器」とし、「我々が目標としたロケット兵器開発の完成段階に達した最も威力あるICBM」だと主張した》
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